熱き「伏見工DNA」継承し9年ぶりの花園 大島淳史・京都工学院ラグビー部監督
それから伏見工時代の後輩、ラグビー経験のあるサッカー部顧問、元トップリーガーらをコーチとして迎え入れた。環境の変化が、チームを前進させると信じた。
令和3年からは日本代表経験のあるOBが定期的に指導を行うプロジェクトも始動。第一線で活躍する先達の言葉は新鮮で発見に満ち、選手らの目線にも変化が表れていた。
チームは少しずつ軌道に乗る。3年前には校名変更後初めて全国選抜大会に出場。「多くの人が喜んでくれた。大きなモチベーションになった」と語る。
悲願の花園へ、あと何が足りないか。フォーカスすべきは京都成章ではなく、自分たち-。大島さん自身、そして選手らがそれぞれ、敵は己の中にありと気づいた。大切なのは自分を信じ、仲間を信じること。「信は力なり」の原点に立ち返った。
京都予選の決勝では京都成章の猛攻に対して泥臭く粘り強く守り、少ないチャンスをものにした。スタンドには山口さんも駆けつけ、優勝が決まると感涙にむせんだ。
「信は力なり。赤黒ジャージーを花園で多くの人が待ってくれている」
大島さんは円陣でそう選手らにハッパをかけた。念願の花園で迎えた初戦の聖光学院戦は圧勝。2回戦も勝利し、元日の3回戦に進んだが、強豪・国学院栃木に敗れた。
試合後、大島さんは3年生に「新しい工学院としての歴史を作ってくれた」と、ねぎらいの言葉をかけた。
「まずはスタートラインに立てた。今後の工学院は花園で勝利し、優勝する、そこを目指すチームにならなければ」
古くて新しい赤黒の歴史を、これから紡いでいく。(渡辺大樹)