Micro・平間壮一らが熱い歌唱を披露 『IN THE HEIGHTS』稽古場取材会
世界中で最もチケットが取れないミュージカルと言われる『ハミルトン』を生んだリン=マニュエル・ミランダの処女作『イン・ザ・ハイツ』。ミランダ自身が出演した本国版は、2008年度トニー賞最優秀作品賞を含む数々の演劇賞を受賞し、21年には映画化。2009年度グラミー賞最優秀ミュージカルアルバム賞も受賞した。 【全ての写真】Broadway Musical『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』稽古場より(全15枚) 今回は初演から引き続きTETSUHARUが演出・振付を行う。初演から続投のMicro(Def Tech)と2021年から参加している平間壮一がWキャストでウスナビを演じ、松下優也、sara、豊原江理佳、有馬爽人、エリアンナ、ダンドイ舞莉花、MARU、KAITA、戸井勝海、彩吹真央、田中利花といった実力派が顔を揃えている。 稽古場取材会では、シーエイティプロデュースの江口剛史から「ワシントンハイツでは様々な国の人が暮らしています。格差や貧困、移民といった、アメリカでも日本でも解決できていないテーマを扱っていますが、作中ではそこから抜け出して将来に向かおうとする姿が描かれています」という紹介の後、楽曲披露が行われた。 「IN THE HEIGHTS」はウスナビをMicroが担当し、軽やかなラップで街やそこで暮らす人々を紹介していく。聞き取りやすい歌唱とキレのあるダンスで物語の世界を伝えるキャスト陣に引き込まれる。 「PACIENCIA Y FE」はウスナビ(平間壮一)とアブエラ(田中利花)のあたたかい関係を見せた後、アブエラによる歌唱に入っていく。チャーミングな中に彼女の苦労や人生が見えて聞き入ってしまう。 最後に停電の中で歌われる「BLACKOUT」を披露。明るい稽古場だと各キャストの表情や動きが細かい部分まで見えて面白い。平間壮一演じるウスナビとアブエラのやりとり、ベニー(松下優也)とニーナ(sara)のドラマティックな掛け合いなど聞き応えも十分で、美しいシーンが完成するだろうと想像できた。 その後のフォトセッションではエリアンナも報道陣に混ざってカメラを向け、和気藹々と撮影が行われる。 ――熱いパフォーマンスを披露していただきました。意気込みからお聞かせください。 TETSUHARU 皆さん個性豊かで明るく、稽古場がすごく賑やかです。マイノリティの方々の抑圧されたパワー、底抜けに明るい国民性がよく反映されているカンパニーだと思います。この時点でかなりエネルギッシュなパフォーマンスをしてくれているので、このまま突き進んでいこうと思います。 Micro 3回目の出演に自分でもマジかと思いました。壮ちゃん(平間)は初演を見にきてくれて、ウスナビを演じたいと思ったそうです。初演の時は優也がいて、当時アンダースタディだったダンドイ舞莉花が今回プリンシパルになっている。夢が詰まっているし、一人ひとりの実力も素晴らしいカンパニーですから、日本でできる最高の『イン・ザ・ハイツ』になると確信しています。 平間壮一 再演に出演し、本当に大事に作ってきた作品です。今回もみんな熱くてパワフルで、みんな仲良くて大好きなメンバー。全力でぶつかっていきたいです。 松下優也 初演の時は純粋に音楽をいいと思える作品に出会えたワクワクだけで乗り越えました。初演と再演をリスペクトし、初めて挑むつもりで再構築したいです。キャストの皆さんが本当に素晴らしいですし、爆発的に良くなると思います。 sara 稽古場に来てセットに囲まれると歴史を感じます。みんなが繋いできたバトンのようなものの重みを感じているところです。皆さんがすごく暖かく支えてくれ、挑戦を讃えてくれる。このメンバーだからできる『イン・ザ・ハイツ』を全力で作りたいと思います。 豊原江理佳 私が初めてこの作品を見たのは12歳の時。ヴァネッサとして出演するのが夢の一つだったので、実現したのが本当に嬉しいです。私はドミニカ共和国と日本のハーフなので、自分のルーツに関わる作品に携わり、故郷に戻ってきたような気持ちで稽古しています。素晴らしいキャストの皆さんと一緒に最高の日本版を作りたいと思っているので楽しみにしていてください。 戸井勝海 前回は作品とキャストの皆さんから多くの刺激を受け、人としても役者としても大きな転機を迎えました。作中の様々な出来事から自分の普段のあり方も考えさせられる、本当に大切な作品です。思いや感じ方が変わった瞬間に世界が変わるということがお客様にも届くと思います。帰り道、皆さんの世界が少しでも明るくなるように全力で頑張ります。 彩吹真央 初演を見た時は感動でいっぱいでした。最初の歌稽古で皆さんできあがっていたのでプレッシャーを感じましたが、それよりも参加できる幸せが勝ちましたし、トライ&エラーが恥ずかしくないカンパニーです。戸井さんとsaraちゃんとの絆を作っていきたいし、カンパニーの皆さんからキャッチする感覚を大切に演じていきたいと思います。 ――今回のカンパニーへの期待はいかがですか? TETSUHARU 皆さん何かに特化していて、補い合うのが稽古場の日常です。僕が渡した材料を膨らませてもらって整える作業をしているので、頼もしい人たちのバランサーでいたらいいのかなと。期待というよりもリスペクトの気持ちでやっています。エネルギーがある作品を、いい状態でお届けできるように一生懸命やっています。 ――初演から3回目の出演となるMicroさんから見た今回のキャストはいかがですか。 Micro saraちゃんと絵梨花ちゃんの歌がピカイチで痺れます。大好きな壮ちゃんはさらにパワーアップしているし、ラップの立ち方がすごい。優也くんはリーダーシップを持ってくれていて、彼とTETSUHARUさんのやりとりにすごく刺激を受けます。 ――豊原さんがご自身のルーツに通じる作品を通して伝えたいことはありますか? 豊原 生まれはドミニカ共和国ですが、1歳の時には日本にいて、1度帰っただけ。だから余計に特別に感じるし大事にしたいと思っています。皆さんにも、安心できる場所やなんでも話せる人、帰れる場所を思い出していただける作品になればと思っています。 ――多くのミュージカルに出演されている平間さんと松下さんですが、ミュージカル作品での共演は初とのことです。 松下 同世代で、同じ時代を戦ってきた同志という感覚があります。壮ちゃんのウスナビを見るのも楽しいし、そこから引き出されるベニーもある。ミランダさんが自分の居場所を作ったこの作品が僕らの居場所にもなっていて、自然と楽しめています。 平間 絶対的にいいものにしたいという思いは全員一緒。向かい方が違う二人なのでいい感じにバランスを取れています。優也を尊敬しているから「ついていきます!」ってところもあるし、僕の意見も聞いてもらえる。楽しく稽古場にいられます。 松下 Microさんは初演を一緒に戦った存在。自分がシングルで相手がWキャストなことって滅多にないので変な感じはします。 平間 嫉妬しますもん。仲良さそうだなって(笑)。 Micro 俺もだよ(笑)。それいいな、俺もやろーって思うもん。 松下 『イン・ザ・ハイツ』は僕らにとっても特別なのですごく楽しいです。 ――最後に、ウスナビ役のお二人方から代表してメッセージをお願いします。 平間 作中に出てくるウスナビという少年は、ちょっと自信がない。僕自身もそうですが、いろいろなものが目に入る世の中で好きなこともコンプレックスに変わっていく。でも、毎日生きている時間が刻まれていて、周りに誰かしらいて、その人たちが何かを思っていてくれている。「その人たちを大切にすればいいんだ」と気づくような舞台です。SNSで人を見て羨むことも多くなっているけど、「自分は自分でいいんだ」と思ってほしい。頑張らなくてもいいから生きていてほしい。ちょっとでも明るく前向きになれる作品にしたいと思っているのでぜひ見にきてください。 Micro ウスナビは街灯。みんなを照らすライトです。ストーリーテラーとしてみんなの人生を紹介しながら自分の人生も転がっていく。大切なのは自分のホームがどこにあるのか。みんな「あの環境に行けば幸せになれるんじゃないか」と考えているけど、 そうじゃなくて「ここがホームだ」と決めた場所が心の拠り所だと思っています。東京から始まり、全国を飛び回りますのでよろしくお願いします。 撮影:飯山福子 <公演情報> Broadway Musical『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』 【東京公演】 日程:2024年9月22日(日・祝)~10月6日(日) 会場:天王洲 銀河劇場 【京都公演】 日程:2024年10月12日(土)・13日(日) 会場:京都劇場 【名古屋公演】 日程:2024年10月19日(土)・20日(日) 会場:Niterra 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール 【神奈川公演】 日程:2024年10月26日(土)14:15開場/15:00開演 会場:大和市文化創造拠点シリウス 1階芸術文化ホール メインホール