映画監督・本広克行 面白い作品にしたければ仲間を信じろ 〝本物のプライド〟あるからこそ、自分より優れた意見を受け入れられる
話題の作品を次々と手掛ける人気の映画監督だ。面白い作品を作り続ける秘訣(ひけつ)は「面白いなって思ったら、その人の意見を聞くこと」だと言う。 「もちろん自分の中にもアイデアはあるのですが、さらに面白い場合は、そっちのほうがいいなってすぐ変えますね」 もし我が強すぎたり、下手なコンプレックスがあったりすると、自分よりも優れた意見が出ても受け入れられないものだが、本物のプライドがあるからこそ、悔しがらずに素直に聞けるのだろう。 「僕はね、みんなに強要するんです。『もっとアイデアないの?』って(笑)。みんなが考えると、僕1人が考えるよりも面白いものが出てくるんです」 ■現場まとまる相乗効果 それは周囲の人の力を信じているからでもある。 「一緒に作品を作るってことは、何か縁があるわけじゃないですか。だとすると、力を発揮してほしいんです」 そんな仲間を大切にする人だからこそ、現場がまとまり、いい作品作りができるのだろう。 ■10月11日「室井慎次 敗れざる者」 ■11月15日「室井慎次 生き続ける者」 1997年の連続ドラマ開始以来、高視聴率を連発し、熱狂的なファンを生み出した「踊る大捜査線」シリーズ。その登場人物の警察キャリア・室井慎次(柳葉敏郎)を主人公に、「室井慎次 敗れざる者」(10月11日公開)と「室井慎次 生き続ける者」(11月15日)が2部作で描かれる。 「多くの人が当てはまると思うんです。バリバリに働いて、定年退職して、会社や組織がなくなったときにどういう風に生きていくんだろうって。室井さんの場合はこういう解決の仕方だというのを、1つの提示として出しています。信念を貫いているのは間違いない。『そういう人をどう思いますか?』というところを軸にしています」 波乱に満ちた警察人生を歩んできた室井は、(「踊る大捜査線」の主人公の警察官の)青島との約束を果たせなかったことを悔やみ、警察を辞めて故郷に帰る。「事件の被害者家族・加害者家族を支援したい」という思いで、2人の少年と穏やかに暮らしていた。そんな中、室井の前に謎の少女(福本莉子)が現れ、近隣では他殺と思われる死体が発見される。穏やかな暮らしを求めた室井のまわりに、再び事件の影が迫りくる。 「試写を見た人に感想を聞いたら、生き方の参考にもなったようなので、自分の人生を振り返れるような映画になったのではないかな。後編は事件の解決の仕方がすごく斬新なんです。びっくりしますよ。(脚本を書いた)君塚(良一)さんをすごいと思いました!」