ロリータファッションの起源とは? 正統派から地雷系へ、変わりゆくスタイルを紐解く
海外人気に拍車 変わりゆくロリータ
本来のカウンター性や、精神を重んじる“正統派”のスタイルは減少しつつあるものの、ロリータファッション自体が廃れることはないという。たとえばヨーロッパやアメリカ、中国などの海外では、日本で人口が縮小しつつある王道のロリータが広がりを見せている。 「今年、CNNではサンフランシスコのロリータ・コミュニティが記事に取り上げられていましたし、パリの街中でもロリータファッションの女性を見掛けます。また、イスラム教徒であるムスリム女性の中には、頭を隠すために用いるヒジャブをロリータで着飾る「ヒジャブロリータ」が存在します。このように、海外ではさまざまな文化ごとにロリータが受け入れられ、年々注目度が高まっています。(菊田氏)」 今年3月、正統派のロリータブランドとして知られる「ベイビーザスターズシャインブライト(BABY,THE STARS SHINE BRIGHT、以下ベイビー)」が開催したファッションショーの会場には、日本人はもちろん、海外からの顧客が大勢駆けつけた。ベイビーは昨年、ニューヨークで初のランウェイショーを行い、4月には上海でも同様のコレクションを発表。王道のロリータを体現するベイビーが、日本を飛び越えて海外での支持を集めていることが窺える。 国内では、地雷系を好む層によるロリータ需要は年々高まりを見せ、今では、それらの層をターゲットに据えるロリータブランドも少なくないという。サブカルからアニメカルチャー、そして海外へ。さまざまな要素を混ぜ込みながら、進化していくロリータ。多くの少女を虜にしてきたファッションスタイルが、今後どのような進化を見せるのか、期待が膨らむ。 菊田琢也 ファッション研究者。昭和女子大学環境デザイン学科専任講師(被服環境学博士)。専門は文化社会学、近現代ファッション史。大学で教鞭を執るほか、パリコレクションなどの取材を継続して行なっている。主な著書・論文に「クリティカル・ワード:ファッションスタディーズ」(共著、フィルムアート社、2022)、「相対性コム デ ギャルソン論」(共著、フィルムアート社、2012)、「女性にパンタロンを:イヴ・サンローランと1968年」(「人文学報」、東京 都立大学、2019)、「キキはなぜ黒いワンピースを着るのか:スタジオジブリとファッション」(「学苑」、昭和女子 大学、2021)など。