こわばりをほぐして疲れない身体に、古武術が教える身体の使い方。
【足裏・足指】「植物が水を 吸い上げるように足裏3点と足指が地球を捉える」
足裏と足指は地面との接点。ふわりと置きつつ引き上げる。 足の親指の真下の母趾球と、小指から少し下がったところにある第5中足骨底、踵骨の3点を基点にして、足裏全体と足指が地面に触れているのが理想的。3点で地面をふわっと捉えながらも足を引き上げる感覚で。武術ではこれを「浮き」と言う。
【口内】「口の中で風船が広がっている。舌まで脱力させるべし」
食いしばることなく、舌は上顎に寄り添うように。 歯の接触は食いしばりの始まり。かみ合わせる筋肉の脱力は肩周りのゆるみにもつながる。歯と歯は触れ合うか触れ合わないかくらいが理想的。舌は上顎に寄り添うようにつけるのが自然体のポジションだ。
【仙骨】「しっぽを丸め、おへそは体の内へ。 体の中心で“本腰が入る”」
ゆるやかに後傾させて、体の上下をつなげる。 仙骨は背骨の最下部(腰椎)とつながる手のひら大の骨。その先端にしっぽがついているイメージで丸めるようにすると、骨盤が後傾し、おへそが体の深部に入るような感じになって、体の上下のつながり感が増す。
日常の動作でも応用してみよう。
【電車に乗る】「揺れても倒れない柳のようにしなやかに」
足裏は「浮き」をかけて踏ん張らない。 揺れている電車に踏ん張って立つと、急停車した時に「おっとっと」とバランスを崩しやすい。それは体の支点に力みやこわばりがあるから。免震構造の建物のようにしなやかに揺れを受け流し、足裏と足指は先に紹介した「浮き」の状態にすると姿勢が崩れない。
【歩く】「脚の始まりはみぞおちから。腹を基点に大きく1歩前へ」
歩幅が無理なく広がって体幹を使った歩行に。 歩く時は股関節から脚全体を引き上げるイメージで。お腹から脚が生えていると思うと自然と大きく動ける。「地面とけんかしない」「やわらかく」が古武術では重要。足裏がそっと地面に接するようなやわらかい感覚を持ちながら足を運べば、安定した歩行となる。
【座る】「ふわふわの雲に乗っているくらいお尻はやわらかく」
固まると凝りにつながる。巡りがよくなる姿勢で。 立っている時同様、背骨は上下に引っ張り合うように軸取りをする。左右の座骨が座面を踏んでいるのを感じながら、これも「浮き」の技術を使って、座面にかかる負荷を全身に散らしていくようにふわりと座る。座面に接するお尻をやわらかくするようなイメージで。