内田紅甘が大切にするブシュロンのドレスウォッチ。
各界で活躍する著名人たちが、大切に紡いできたウォッチ&ジュエリーにまつわる物語をひもとく。 【写真】「あの人のウォッチ&ジュエリーの物語」一覧
内田紅甘/俳優・エッセイスト
シンプルなデザインを好み、こだわりは強い。チェーンのディテールがアイコニックなティファニーのハードウェア コレクションのボールピアスは、17歳で彼女が初めて手にしたというファーストジュエリー。それ以降、長く愛用している。そして、20歳で出合ったブシュロンのドレスウォッチは、それまで時計に日常使いとオケージョン使いがあると知らなかった彼女にドレスアップの概念を教えてくれた一本。ゾウが連なったブレスレットも10代の頃にプレゼントしてもらって以来、愛用している。トレンチコート¥198,000/カナコ サカイ
「贈ってもらった時の記憶も含め、ジュエリーの価値になる」
ジュエリーは自分で買うよりプレゼントしてもらうことが多いし、そのほうが好き。そのジュエリーが目に入るたびに蘇る、贈ってもらった時の記憶も含めて、価値になるから。値段とかブランドではなく、その人が私のことを考えて選び、私への想いが詰まっているものを身に着けているという感覚も含めて好きなんです。その人がいつも一緒にいてくれるような、お守りに近い感じ。今日、撮影で着けたティファニーのピアスは17歳の時にもらったもの。ティファニーのお店に行ったのも初めてで、緊張したことを覚えています。ヴィンテージのブシュロンのドレスウォッチは20歳の誕生日に。時計は身に着けていると何度も見ますよね。日々刻まれる"時"をもらったような気がして、すごくうれしかったことを覚えています。シャネルのピアスは17歳の時、初めて東京で開かれたシャネルのショーにゲストとして招待された時に母から借りて着けていったもので、いまでも人前に立つ仕事で使います。古着屋さんとかフリーマーケットで、気に入ったアクセサリーに出合ったら買うこともあります。私は以前に大切に使っていた人たちがいた、という歴史というか、ものの奥行きに魅力を感じます。他人の念が入ったものだから怖いと感じるかもしれませんが、込められたその想いは悪いものとは思えないし、私はポジティブに受け取るタイプ。素敵なジュエリーを手に入れて、それを身に着けて、満たされていた、そんな前向きな想いがものに宿っていると感じます。大切にされていたものだからこそ、私がピンチの時にも味方してくれる気もします。買ったばかりの新品のジュエリーの歴史を自分で作っていくことも素晴らしいですが、私はすでに別の人の人生に寄り添って時間を重ねてきたものにも魅力を感じます。