第4次産業革命ともいわれる「IoT」って何?
IT・インターネット業界にとどまらず、一般の生活シーンでも見聞きする機会の増えた「IoT」。これは従来のものづくりに大きな変革をもたらし、第4次産業革命を起こすともいわれています。一体、IoTは私たちの仕事や暮らしをどう変えていく可能性があるのでしょうか? その概要と可能性、課題をまとめてみましょう。
そもそも、「IoT」とは?
IoTとは、Internet of Thingsの略で「モノのインターネット」を意味します。従来のインターネットは、ヒトがIT機器を通じてインターネットにつながる世界でした。しかし、IoTは身の回りにあるモノにセンサーなどが組み込まれ、ヒトを介さずに直接インターネットに接続します。これによって、モノ同士やモノとヒトが通信できるようになるというわけです。モノを遠隔で操作できるほか、モノから得たデータを収集・解析してモノをアップデートできるなど、新しいサービスや製品の開発に役立つことが期待されています。 IoTに注目が集まる背景には、スマートフォン(以下、スマホ)の普及が大きく影響しています。スマホには、傾きや動き、振動などを感知するセンサーが内蔵されています。スマホが急速に広まったことでセンサーが大量生産されるようになり、低価格化が進行しました。さらに、センサーの小型化や省電力化などの技術も進化したことで、IoT実現に向けた環境が整ったのです。
ビジネスにおけるIoTの主な活用事例
すでに、IoTを活用したビジネスモデルは多数登場しています。その好例が、米ゼネラル・エレクトリック(GE)の航空機エンジンです。 従来、GEは航空機エンジンの開発・販売で収益を得ていました。ここからさらに、IoTを活用することで、飛行中のエンジンをリアルタイムでモニタリングし、故障や寿命の予兆を正確に察知することができるようになったのです。これまでは、着陸後の点検で不具合が発覚し、その後部品の取り寄せ・到着といったタイムロスが生まれていました。しかし、IoTによって飛行中にエンジンの不具合が発覚すれば、そのメンテナンスに必要な部品を着陸前に手配し、着陸後すぐにメンテナンスに取り掛かることができるというわけです。 もし、フライト前にエンジントラブルを感知・保守すれば、フライト中止を防止することができ、修理や整備にかかる手間を機体ごとに適切なタイミングで行えるようになります。さらに、データ解析で燃料に無駄のない飛行経路を割り出し、燃費や効率向上でコスト削減につなげることも可能です。こうした製造販売のサービス化は、今後も確実に進むとされています。 別例では、スペインのバルセロナ市とマイクロソフト社によるサービスも 注目です。バルセロナ市は、市内全域をカバーするWi-Fiで接続されたスマートパーキングメーターを導入しました。これにより、駐車可能な駐車場の情報をリアルタイムでドライバーに提供し、需要と供給の最適化を容易に行えるようになったのです。このほかにも、農業や自動車、医療、サービスの分野など、IoTを活用したビジネスは、どんどん広がりを見せています。