<私の恩人>レイザーラモンRG 叩き込まれた「天龍イズム」
絶妙な選曲にあわせて“あるあるネタ”を熱唱する、お笑いコンビ「レイザーラモン」のRGさん(40)。オンリーワンのスタイルでわが道を突き進んでいますが、12月10日には大阪・なんばグランド花月で「RGが90分あるあるを歌い続け すっちーが吉田の乳首を90分ドリルし続ける会」を行います。主催イベントはすぐさまチケットがソールドアウトになり“今、劇場が最もイベントをしてほしい芸人”とも言われていますが、その礎を叩きこんだのは、お笑いとは無縁の異ジャンルの雄でした。 僕の恩人、プロレスラーの天龍源一郎さんです。 覚えてくださっている方もいらっしゃるかもしれませんが、相方のHGに続いて僕がプロレス団体「ハッスル」に参戦したのが2006年。参戦から何カ月かが経った頃、天龍さんと初めて控室でお会いしたんです。 当然と言えば当然なんですけど、背中に「芸人が、何しにきたんだ」と書いてあるような雰囲気で、あいさつしても返ってこない。プロレスラーの中でも、とりわけ強いプライドを持ってプロレスをやっている天龍さんですから、余計にその思いが大きかったんだと思います。 そんな状態が続いて、またそこから何カ月かが経った頃、なんと、天龍さんと試合をすることになったんです。しかも、シングルマッチで。試合を組んでいただいたということは、天龍さんがこちらを視界に入れてくれたということ。そのうれしさはあっても、リングで1対1で戦うわけですから、当然恐ろしさの方がすさまじかったです(苦笑)。 実際、試合では、それは、それは、それは、それは、ボコボコにされました(笑)。チョップで胸の皮膚が破裂して血で真っ赤になるわ、グーパンチは食らうわ、顔面キックは食らうわ、テレビで見ていたあんな技やこんな技を食らいまくりました。 ただ、僕も負けてはいられないので、意を決して天龍さんの顔を思いっきり張ったんです。何発も殴るんですけど、天龍さんの一発でぶっ倒される。でも、また僕が殴りかかる。こちらとしては無我夢中でやっていただけなんですけど、そこでお客さんがとても喜んでくださったんですよね。ま、もちろん、試合結果は負けましたけど…。 なぜ、こんな試合を組んでくださったのか。あとから聞くと、どうも天龍さんが見てくださってたようなんです…。自分で言うのはナニなんですが、僕もHGもプロレスが心底大好きで、できないながらもトレーニングをし、少しでもお役にたとうと試合前のリング設営をし、辞めようとしているスタッフの相談に乗ったり、控室でバカ話をして他のレスラーの方々をリラックスさせたり…というところを。 この試合をきっかけに、控室でも「こっち来い、RG」と天龍さんの横に座らせてもらうようになりました。言っていただいたのは「オレがあれだけボコボコにしたのは、お前を認めたからだ。片足ツッコんでるんじゃなく、本気でプロレスをやろうとしている。だからこそ最大の敬意を持って、ぶっ潰しにいったんだ」と。 多くは語られないんですけど、試合を通じて“お客さんに喜んでもらう”ということの神髄を教えてくださったと感じています。