頭金に貯金を使いたくありません。「50年の住宅ローン」を組んでもいいでしょうか【FPが解説】
国土交通省が2023年12月28日に公表した「不動産価格指数」によると、2010年の平均と比較して、2023年9月の指数は135.6となりました。 【住宅ローン残高の一覧】年代別に見ると、60歳代や70歳代でもローンが残っている人はいる 土地の価格が上昇しているなかで、毎月の返済額を少なくするために、頭金を払わず50年の返済期間となる住宅ローンを組もうとしている人もいるのではないでしょうか。 今回は、住宅ローンを50年で組んでも問題ないのか、デメリットや懸念事項について解説します。 ※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
返済期間が50年の住宅ローンもある
一般的に、住宅ローンは最長の返済期間が35年でしたが、近年の住宅価格の高騰などもあり、返済期間が最長で50年になる住宅ローンも登場しています。 35年が最長の住宅ローンに比べて、50年ローンは返済期間を長く設定できるので、一般的に毎月の返済額を少なくできるメリットがあります。 住宅購入のハードルを下げるために、若年層をターゲットに取扱いが始まりました。 このように、35年の返済期間で借り入れできない人でも利用しやすい50年ローンですが、FPとしては全員に利用をおすすめすることはできません。 その理由について解説しましょう。
50年の住宅ローンがFPとしておすすめできない理由
50年ローンが全員におすすめできない理由は、以下の3点です。 ・適用金利が高くなる ・老後生活中もローンの返済が必要 ・利息分が大きく元金の返済割合が低い それぞれの注意点について解説します。 ●適用金利が高くなる 50年ローンは、適用される金利が35年以下の金利より高くなるデメリットがあります。 例えば、住宅金融支援機構が提供しているフラット35とフラット50で最も適用されている金利は、以下の通りです。 ・フラット35:年1.870% ・フラット50:年2.230% 適用金利が高くなると、結果的に利息の支払総額が増えるので、長期的な視点で負担が増える点が注意すべきポイントです。 ●老後生活中もローンの返済が必要 返済期間が50年の住宅ローンを組むと、定年退職後も返済が必要なので、老後の生活が圧迫される可能性があります。 定年によって収入がなくなったとしても住宅ローンの返済は続くため、返済計画が老後になってから破綻する可能性が高いです。 さらに、住宅ローンの返済期間中に金利が上昇した場合、もっと返済額が高くなります。 目先の返済額が低いだけで準備するのではなく、返済できる余裕資金や、完済後も老後資金が枯渇しないか、先行きを見通して50年ローンを準備する必要があるでしょう。 ●利息分が大きく元金の返済割合が低い 一般的に、住宅ローンの返済方法は「元利均等返済」が用いられています。 元利均等返済だと、最初は利息の割合が大きいので、元金の減り方が遅いです。 そのため、住宅を売却する場合に売却価格よりローンの残高が少なくなる「残債割れ」の可能性があります。