中国、株式市場支援に少なくとも16兆円余り-安定化基金検討
(ブルームバーグ): 中国は株式安定化基金を創設する計画を検討している。低迷する株式市場に初期段階で少なくとも8000億元(約16兆3500億円)の流動性支援を実施する方向だ。
中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝総裁は24日の記者会見で、証券会社やファンド、保険会社が株式を購入するため人民銀から流動性を引き出せるようスワップ制度を設けると発表した。
また、上場企業が自社株買い戻しを行い、大株主が保有株式を増やすため、こうした目的に特化した再貸出制度の計画もあるという。
当局による株式市場への流動性支援は、スワップ5000億元と再貸し出し3000億元という形で行われ、さらに5000億元を段階的に追加する可能性があることも潘総裁は明らかにした。
中国本土株の指標CSI300指数は、発表を受け大きく上昇。香港に上場する中国本土株の指標ハンセン中国企業株(H株)指数も大幅高となった。
北京を本拠とするブティック型投資銀行、香頌資本の沈萌ディレクターは、「新たな金融商品を通じて株式市場の流動性を拡大することは、短期的には取引の活発化につながるだろうが、株式市場での上場企業の根本的なパフォーマンスは変わらない」と指摘。
そのため「この措置は資産価格のバブルを招く可能性があり、株式市場の健全な発展のためには望ましいものではない」との見方を示した。
今回打ち出されたのは、投資家心理の改善と株売り食い止めを図る新たな措置。当局はこれまでの株価対策で、持続的な回復を促すことをできなかった。
8月の経済統計が期待外れだったことから、習近平政権がさらなる支援策を講じなければ、年間の経済成長率目標である5%前後を達成できないのではないかという懸念が高まっていた。
グロー・インベストメント・グループの洪灝チーフエコノミストは、「2015年の中国株バブル崩壊時にこの手法が用いられた」と説明し、「中銀資金のため、潜在的な資金供給は無限とも考えられるが、現段階でこの制度を利用しようと多くのファンドが積極的に借り入れを行うかどうかは疑問だ」と語った。