蛍光イエローの溶岩湖や数百万羽の空の舞、巨匠が輩出した映画祭など1月の旅先5選
4. サン・セバスチャン、スペイン
バスク地方にあるこの海岸都市は、夏はサーフィンや砂浜を求める人々に人気のスポットだが、オフシーズンもまた魅力的だ。気候は穏やかで、ホテルも手ごろな価格、ミシュランの星付きレストランが軒を連ねているので予約も取りやすい。また、1月にはこの都市最大の文化イベントが催される。 街の名前のついたサン・セバスチャンの日(1月20日)は、街に出かけよう。街の誰もが待ち焦がれる祭りの日だ。伝統的なバスク料理が振る舞われ、コンスティトゥシオン広場では旗を掲げて喜び集い、タンボラーダという太鼓祭りが催され、街全体がお祭り一色になる。太鼓のパレードには何千人もの太鼓奏者が参加し、石畳の通りを威勢よく練り歩く。 祭りのお供はお酒の入ったグラスだ。この地方では、1月はシードル(りんご酒)が出回り始める季節だ。シードルハウスに行き、伝統にならって、栓を抜いたばかりの樽から直接、濁った色をしたシードルをグラスに注ぐ。さっぱりとした口当たりだ。郷土料理の塩ダラやバスクステーキと一緒にいただこう。 サステナブルな旅のヒント: サン・セバスチャンには、ビデゴリ(bidegorri)と呼ばれる自転車専用レーンが網の目のように整備されており、自転車での散策に最適だ。徒歩でも十分に楽しめる。街の主要観光スポットの多くは、平坦な道を15~30分も歩けばたどり着く。地元経済を応援するサステナブルなツアーを運営する ゴー・ローカル(Go Local)では毎日、少人数での無料ウオーキングツアーや電動自転車ツアーを開催している。
5. 中国東北部
毎年冬になると、松花江の河畔にはこの世のものとは思えない氷の世界が出現する。氷が解けてしまう前に、「ハルビン氷祭り」でゆったり過ごそう。この祭りは、12月下旬から2月にかけて中国東北部で毎年開催される最大級規模の氷雪祭りだ。水晶で作られたような街には、高くそびえ立つ雪像や氷のランタン、分厚い氷の塊で作られてライトアップが施された実物大の建物などが数多く立ち並ぶ。 ほかにも、ハルビンの南にある吉林市では、毎年冬になると木々は霜の薄い膜ですっぽり覆われる。この現象は中国の四大自然の驚異の1つとされ、霧の立ち込める松花江沿いに立ち並ぶ木々は、繊細な模様細工のような霜に包まれ、枝はクリームのような氷の雲に姿を変える。街では毎年1月に「霧氷氷雪フェスティバル」を開催し、花火やアイススケート、川面に幻想的に浮かぶランタンの光などで、夜が訪れるまでこの現象を楽しむ。 サステナブルな旅のヒント: 急速に拡大する中国の鉄道網に、2021年、北京からハルビンまでを結ぶ高速電気鉄道が加わった。時速350キロメートルの高速鉄道は、マイナス40度まで下がる中国北部の凍てつく気温でも運行できる設計になっている。アルミニウム合金製の軽量車両と、抵抗の少ない流線型デザインを採用したこの鉄道は、エネルギー消費量の削減に貢献する。
文=Stephanie Cavagnaro/訳=夏村貴子