全国デビューの新人歌手は兼業公認の市職員 地元PR作曲もこなす
好きな街・焼津を二刀流で盛り上げたい――静岡県焼津市職員として働きながら、シンガー・ソングライターとしてご当地ソングを作り、歌ってきた牧野憲人さん(34)が今月、CDデビューした。 【写真】全国CDデビューを記念するイベントで熱唱する牧野憲人さん=2024年12月24日午後8時2分、焼津市 静岡市駿河区出身の牧野さんが音楽に向き合ったのは中学3年のころ。友人に誘われてバンド活動を始めた。高校からは作詞や作曲もこなし始め、大学では自主制作のCDを発表。一時はプロを目指すまでになった。 結局、大学を卒業して県内の金融機関に就職する道を歩んだ。2019年には焼津の市役所に転職。ライブなどで訪れ、気に入っていた焼津の街づくりに貢献したいと、市商工観光課で産業振興や起業の相談などに対応する毎日だ。 しかし、就職してからも音楽への情熱がなくなったわけではなかった。高校以来、作詞・作曲し続けてたまった楽曲は100を超える。ライブ活動も、地域のイベントなどに参加して続けてきた。 市職員になってからは、焼津をPRする曲も手がけるように。「やいちゃん日本一!」や「高草山の歌」など、焼津にちなんだ曲は12を数える。 これらの活動が大手レコード会社グループの目にとまり、8月にCDデビューが決定。併せて、市から市職員とシンガー・ソングライターとしての兼業許可も正式に得た。 今月11日、2曲を収録したデビューCD(定価1350円)が全国発売。ロック調の「銀河鉄道」、バラード調の「三日月の晩」いずれも、社会人になった20代半ばで制作した。「人の生と死を哲学的に示した」(牧野さん)という意欲作だ。 「全国デビューは夢でもあったのでうれしい」と話す牧野さんだが、「二刀流と言ってもあくまで軸足は公務員」。これからも市の業務を優先しながら音楽活動を続けていこうと思っている。「こんな二刀流で夢をかなえるやり方があることを知って欲しい」 次の夢は、焼津市をテーマにした曲のCDを発表することだ。(林国広)
朝日新聞社