50代、夫の転勤や親の遠距離介護に直面。「消耗しないため」に意識した4つのこと
2:母が誤った判断をしないように成年後見人の手続きをした
実家に帰るたびに、母が新聞の契約を重複して結んでしまうことが発生して困っていました。新聞だけならまだよいですが、母がひとりのときを狙われて、悪質な契約を結ばれてしまったら…と考えたら怖くなりました。法律上、実子であっても契約者以外が解約することはできないので、認知機能が低下した母に代わって利用契約の締結や医療費の支払い、不動産や預貯金などの財産管理、医療・福祉サポートを受けられるようにするため成年後見人の手続きをしました。 成年後見人になるために必要書類を家庭裁判所に送る必要があり、手間や労力は少し増えましたが、不必要な契約を解除することができるため、そのあたりの不安や心配はなくなり、気持ちが少し軽くなりました。
3:母と自分が納得したうえで、グループホームに決めた
認知症がわかってから1年くらいは介護の方のサポートを受けながらひとり暮らしを続けていた母ですが、ある日介護の方から「水道が出しっぱなしになっていた」と報告を受けました。もし火をつけっ放しにして火事になってしまったら、自分だけではなくまわりにも迷惑かかってしまいますから、グループホームを探すことにしました。 近所の人や顔見知りの人も遊びに来てもらえるように実家の近所のグループホームを探したところ、ちょうどあきがあったのでそこに入居させてもらうことになりました。母の安全のためにと思って決断しましたが、いざ入居が決まったら「これからは温かいごはんを食べさせてもらえるんだ。常にだれかの目があるところで24時間安心して過ごせるんだ」と、私自身の気持ちもラクになったことに気がつきました。 とはいえ入居したら終わりではありません。気持ちの面では比べものにならないくらい軽くなりましたが、コロナ禍以前は月1で、コロナ禍以降は2~3か月に1回のペースで通っているので体力的には疲れます。普段から料理のつくりおきなどをしておき、自分の生活の質を下げないように意識しています。
4:気持ちはため込まず、ストレスはほどよく発散する
私はひとりっ子なので、母の介護に関することをすべて自分の裁量で決めることができました。全部ひとりで抱えなければならないのは大変ですが、自分と母のタイミングで思ったことを思ったとおりに実行できる自由さがあったのは、私の性格やスタイルに合っていたと思います。 また、母に伝えたいことはその都度しっかり伝えるようにしていました。我慢のしすぎは自分を消耗させてしまうと思うので、悲しいことも文句も、嬉しいことも口に出していました。 さらに「自分的には母にとって使いやすい家にしたつもりだけど、本当のところはどうだったのかな」と不安になることが増えたことをきっかけに整理収納についてイチから学び直そうと整理収納アドバイザーの資格を取得しました。 勉強してみて、私が母のことを考えて“なんとなく”整理収納していた部分がロジック的に合っていたことがわかり、それも安心と自信につながりました。 わが家は転勤族なので、自宅が数年おきに変わってしまいます。でも片づけの法則がわかってからは、自宅の住みやすさも上げやすくなり、家事の手間や労力の負担軽減にも役立っています。資格取得のきっかけは母の介護でしたが、今の自分の生活にも役に立っています。
小林ユリ