日米の株価急落で知る長期投資の意義、新NISA開始からの日経平均株価つみたて投資がマイナス評価に転落
実際に、年初から積立投資を開始して積立期間が7カ月間の成績でマイナス7.02%という含み損の状態になってしまっているが、これが昨年の8月から1年間にわたって積立投資をしていた場合、8月2日時点でも0.88%のプラスとまだ評価益が残っている状態だ。さらに遡って過去3年間にわたって積立投資をしていた場合は、プラス21.79%、5年間の場合はプラス37.33%、7年間であればプラス50.45%だ。7年間の積立投資の結果、投資元本よりも50%以上の投資収益が残っていれば、今回の価格下落も大きな痛手とは感じないのではないだろうか。
もちろん、長期に投資していたとしても株価下落の影響はある。たとえば、7年間の積立投資の場合でも、日経平均株価が史上最高値を付けた7月11日の時点では投資収益率は77.69%だった。その収益率が50.45%に目減りしてしまったというのが現実だ。7年前の2017年8月には、日経平均株価は1万9900円台で、「<購入・換金手数料なし>ニッセイ 日経平均インデックスファンド」の基準価額は1万1000円台だった。それが、今では日経平均株価は下落したとはいえ3万5900円台、ファンドの基準価額は2万2800円台だ。投資を開始した7年前の水準から比べると、依然として高い水準にあるため、今回の下落相場でもそれほど不安を感じることもないだろう。
このような投資の安心感は、積立投資期間が長ければ長いほど、より大きな安心感を得られる。1年程度では、もはや株価が34年ぶりに史上最高値を更新したという上昇分をも吐き出してしまっている。少なくとも3年間くらいは継続して積立投資を行っていれば、8月2日時点でも20%を超える含み益があるため安心感を持てるのではないだろうか。3年、5年、10年、20年と、長期にわたって投資を継続することが、株価の変動に耐える力になる。
ただ、8月2日に発表された米7月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が11.4万人増と予想の17.5万人増から大幅に悪化。平均時給も3年ぶりの低い伸び率になった。失業率も4.3%と4カ月連続で上昇した。この雇用統計の悪化は直接的に米国の金融政策の変更と結び付けて考えられ、9月のFOMCでの利下げ開始が確実視されるとともに、下げ幅も従来の0.25%ではなく、0.50%という見方が台頭した。この雇用統計だけで、米国が景気後退(リセッション)に入るということが確信されたわけではないものの、今後の景気見通しに対して相当弱気になってきたようだ。NASDAQ総合指数は7月10日の史上最高値からの下落率が10%を超えた。米国の株価下落が、日本の株価を押し下げる要因にもなる。この米国株の下落が、週明けの日本株の急落につながっている。