「お金パッとくれる人でラッキー」紀州のドン・ファン事件 『毎月100万円』『性交渉なし』など条件に結婚 元妻が赤裸々に供述…「野﨑さんが覚醒剤の購入を依頼」密売人との接触認める【被告人質問詳報・前編】
“お金をパッとくれる人だからラッキー” ついに始まった被告人質問で、初対面の日に抱いた感情を元妻はこう振り返った。 【画像を見る】生前の野﨑幸助さん 2018年に「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家・野﨑幸助さん(当時77)を殺害した罪に問われている、当時の妻・須藤早貴被告(28)。須藤被告は「覚醒剤を摂取させたこともないし、殺していない」と無罪を主張している。28人という異例の数の証人尋問を経て、11月8日、1日目の被告人質問が行われた。須藤被告は、密売人との接触は認めたうえで、“覚醒剤を購入したのは野﨑さんからの依頼だった”と説明した。
初対面で帯付きの100万円とプロポーズ “お金をパッとくれる人だからラッキー”
弁護人による被告人質問ではまず、野﨑さんと須藤被告の結婚に至る経緯に焦点があてられた。 須藤被告はモデルの仕事で中国・北京に行き、某日本人女性から“お金持ちに興味ある?”と話を持ち掛けられ、さらに野﨑さんの知人男性を介して知り合ったという。 2017年12月、初対面の日。被告は、野﨑さんに関するYouTubeの動画を見るなど、“予習”をして和歌山県田辺市の野﨑さん宅に向かった。野﨑さんは「会いに来てくれてありがとう」と言って、帯付きの100万円を渡し、真剣な表情で「結婚してください」とプロポーズしてきたという。 須藤早貴被告(以下、被告) 「冗談だと思って “(今後も)100万円くれるならいいよ”と」 「『きょうだいと仲が悪く、遺産とかがきょうだいに行くのがイヤだから、君にもらってほしい』と言われました」 「“お金をパッとくれる人だからラッキー。うまく付き合っていこう”と思いました」
野﨑さんがスーツを脱ぎバスローブ姿になると…「オムツをしていてちょっと引きました」
しかし、須藤被告は“急ぐことではないと思った”といい、その場で結婚を受け入れることはなかった。初日の段階で、被告の感情が徹底的に“ドライ”で冷めていたことは、以下の供述からもうかがえる。 被告 「(野﨑さん宅)の階段が急な傾斜で、後ろから支えたら、『年寄り扱いしないで』とちょっと怒られて、『は?』となりました」 弁護人「それでどうした?」 被告 「親切をないがしろにされたから、それ以降は手を貸しませんでした」 「2階に上がったあと、(野﨑さんが)スーツを脱いでバスローブ姿になりました。その時にオムツをしていて、ちょっと引きました」 一方の野﨑さんは、その後も必死に被告にアプローチをかけてきたという。 弁護人「電話では野﨑さんはどんな話を?」 被告 「『結婚してください』とか『ア・モーレ』とか。会話というより、一方的に言ってきて切られる。いた電(いたずら電話) みたいな。付き合っていくうちに、だれに対しても頻繁に電話をかける人だとわかった」 弁護人「何度も結婚してほしいとせがまれて、どう応じていたんですか?」 被告 「『毎月100万円ちょうだいね』とか(言いました)」 弁護人「自身の予定に絡んでは?」 被告 「3月にフランスに旅行に行くから、『また今度会いましょうね』とはぐらかしました」 「(野﨑さんは)『海外旅行なんて行かなくていいじゃないですか』とか『早く婚姻届を出そう』と言いました。 また、被告が “田辺市は田舎なので住めません” とも言うと、野﨑さんはこう答えたという。 被告 「『家政婦のTさんみたいに、月に何回か来てくれればいい』と言われました」 最終的に被告と野﨑さんは、2018年2月に婚姻届を出した。被告は結婚の条件として、100万円の支払い(2018年1月~4月、実際に野﨑さんは被告の口座に計4回・各100万円を入金した)以外に、「性行為をしない」という点も求めた。野﨑さんは“別の交際女性(=10月21日に証人出廷した20年来の交際女性)が、家に来てくれるから大丈夫”と述べたという。 須藤被告が、自らの家族や知人に結婚について知らせることはなかった。 被告「契約みたいで、愛し合ってした結婚とは違う。周りに言いふらすものでもないので言いませんでした」