ピムコ正直氏、日本国債は超過収益狙える市場-世界で重要度増す
(ブルームバーグ): 米債券運用大手パシフィック・インベストメント・マネジメント(ピムコ)は、日本銀行による年内2回の利上げを予想した上で、日本国債は利回り上昇に伴って高い収益を狙える市場に戻っていくとみている。
ピムコジャパンリミテッド共同代表者兼アジア太平洋共同運用統括責任者の正直知哉氏は12日のインタビューで、「日本国債は期待リターンが回復してくるだけでなく、アクティブ運用者にとって超過収益の上乗せに恵まれた市場だ」と指摘。ピムコのようなグローバルな債券運用会社にとって「非常に重要な市場になってくることは間違いない」と述べた。
円金利市場で30年余りのキャリアを持つ正直氏は、日本国債は中長期ゾーンが銀行、超長期ゾーンは保険会社という形で「市場分断が伝統になっている」と分析。日銀が国債発行額の半分を保有していることも市場のゆがみを生んでおり、こうした市場の「非効率性があるところに投資機会を見いだしている」と言う。
日本国債は10年間にわたり日銀によって金利が低く抑えられ、ボラティリティーも低く、投資魅力を欠く市場だったが、日銀は3月に17年ぶりの利上げに踏み切るなど超金融緩和政策からの脱却に向け動き始めている。14日の金融政策決定会合では大規模な国債買い入れの減額方針を示すとの見方が強い。
国債の保有主体が今後日銀から金融機関に徐々に移る過程で市場のボラティリティーが回復し、正常なリスクプレミアム(上乗せ金利)も求められるようになれば、「投資家が日本の債券市場に戻ってくる良い機会になる」と正直氏は話す。ピムコは3月末時点の運用資産総額が1兆8900億ドル(約296兆円)と世界の債券市場の巨大プレーヤーで、同社の考えは他の海外勢の戦略にも影響を及ぼす可能性がある。
ピムコは、日銀が政策金利を7月か9月に0.25%、12月か来年1月に0.5%まで引き上げ、2025年中に1%までの利上げを見込む。この前提に基づき24年末の5年国債利回りを0.9%程度、10年国債利回りは1.25%程度と予想。正直氏は「金利上昇の過程では損失も生じるが、まだ十分保有していない投資家にとっては期待リターンの高い市場に戻っていく」とみている。