オールシーズンタイヤは100年以上前からあった!? ルーツは1908年まで遡るグッドイヤー『ベクター』40周年!
日本のタイヤ市場に「オールシーズン」という選択肢をもたらしたベクター。ここ10年ほどでその名を広めたアイテムながら、その歴史は予想をはるかに超える40年にも及び、その性能は格段に進化を果たしている。ベクターの信頼性を裏付ける40年、9世代に渡る進化 現在の日本で冬用タイヤといえば、スタッドレスタイヤを示していると考えるのが一般的。特に近年ではその性能は大きく進化し、圧雪路だけでなく凍結路でも確実なグリップ力を発揮するアイテムが増え、雪国を中心に高い普及率を誇っている。しかし、非降雪地域に限っては日常でスタッドレスの必要性を感じることはなく、年に1~2度の大雪時に大混乱を巻き起こすのはもはや風物詩とも言えるだろう。そんなスタッドレスが日本に上陸したのは1982年のこと。それまで使用していたスパイクタイヤから、スパイクなしでも利用できる性能を目標に開発されたという。 そんなスタッドレス誕生よりはるか昔に、雪道でのグリップ力とドライ路面での耐久性を備えるタイヤとして、世界に先駆けて誕生したのがグッドイヤーのオールシーズンタイヤ。その歴史は1908年にリリースした「オールウェザー」から始まったのだ。その後、1977年には世界初のラジアルオールシーズンタイヤ「ティエンポ」が誕生。本国アメリカで予想をはるかに超える大ヒット商品となったことで、オールシーズンタイヤの開発をさらに発展させ、第二世代「アリーバ」へと進化する。現在も受け継がれる「ベクター」シリーズは、第三世代として1984年にデビュー。オールシーズンタイヤ誕生から76年で蓄えたノウハウをふんだんに取り入れてリリースされたというわけだ。 ネーミング変更とともにさらに一段上のレベルに もちろんベクターシリーズは時代とともに進化し続け、常にオールシーズンタイヤとしての性能を高め続けている。例えばオールシーズンタイヤは、泥道や雪道でも安全に走行できるように冬タイヤとしての性能を併せ持つことが基本。そのため欧米で冬タイヤとして認識される基準をクリアし、1年中安心して使用することができる設計が行われているのは当然。そこからさらに時代に合わせたコンパウンド技術やトレッドパターンの解析・最適化を行うことでドライ/ウエット路面での確実なグリップ力やハンドリング、磨耗耐久性の向上などタイヤに求められる様々な性能が高められ、欧米でも数々の賞を受賞するに至る。 とは言っても、ベクターシリーズの性能が劇的に進化したのは、2008年に登場した「ベクター4シーズンズ」から。それまでのモデルではベクター+ナンバリングだったネーミングを、6世代目から改めて4シーズンの名称を加えたことで、どんな季節でも絶対の性能を実現する自信を表しているというわけだ。日本への正式導入は2013年からとなるため、一般的に知られているベクター4シーズンズはこのモデルが最初と言えるだろう。 日本に上陸して11年が経過した現在、ベクター4シーズンズはさらなる進化を遂げている。その間にもベクターは「ベクター4シーズンズ ハイブリッド」、そして現在の最新モデル「ベクター4シーズンズ ジェン3」へと歩みを進めている。特に「ベクター4シーズンズハイブリッド」が誕生した2016年には、国内製造へと切り替えが行われている。なおかつコンパウンドをオールウエザーシリカコンパウンドに変更することで、路面を選ばないグリップ力と操安性をもたらしている。このあたりからベクターシリーズの認知度が上がり、オールシーズンタイヤへの注目度も飛躍的に高まっていったことは間違いないだろう。 クルマの特性に合わせた新たな進化の方向性 ちなみに現在ラインアップされる最新モデルは「ベクター4シーズンズ ジェン3」。「ベクター4シーズンズ ハイブリッド」をスタンダードに据えながら、プレミアムオールシーズンタイヤとして一昨年にデビューし、瞬く間にシェアを広げている。特に雪道での排雪構造を向上することで、ブレーキ性能を強化しつつ、摩耗が進行しても排水性を保持するウエット性能の向上、さらに高剛性トレッドと新コンパウンドの採用によりハンドリングと耐摩耗性と言った基本性能を高めている。 また、車両重量や重心位置などの特性が違った乗用車用とミニバン/SUV用を明確に分けることで、サイズ展開だけでなく狙い通りの性能を引き出しているのは見どころ。まさにプレミアムにふさわしいアイテムへと目まぐるしい進化を遂げているのだ。 ブランドの誕生からは40年。しかしその根底に流れるオールシーズンタイヤの技術力は、100年を優に超えているベクター。その信頼性は、長きに渡る歴史が物語っているというわけだ。
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