自民党がどんな失政をしようが、立憲民主党という選択肢はない/倉山満の政局速報
立憲民主党の代表選の投開票が23日に行われた。結果、決選投票で枝野幸男元代表に野田佳彦元首相が勝利した。 超一流のハッタリを持つ「野田代表」に対するのは「進次郎で大丈夫か」との声を高め、自民党総裁選にも影響を及ぼすと語るのは憲政史研究家の倉山満氏だ(以下、倉山満氏の寄稿)。
国民の選択肢をゼロにした「悪夢の民主党政権」
選挙は何の為にやるのか? 国民の意思を政治に反映させるためである。 だから最低でもマトモな選択肢が二つ無ければならない。もし選択肢が一つなら、ゼロと同じだ。 権力は絶対に腐敗する。だが、与党にどんなに不満であっても、他に選択肢が無ければ、与党に我慢するしかない。結果、与党の腐敗と増長は無限大となる。 1955年以降、日本の政治はこのようになった。自民党の賞味期限は20年。しかし、日本社会党の無能は「まさか社会党に政権を渡すわけにはいかない」「ならばどんなに不満でも自民党に任せよう」を続けさせた。 社会党に変わる、民主党、民進党、そして今の立憲民主党。国民を政権交代恐怖症に叩き落すには十分すぎた。特に3年3か月の民主党政権は「あいつらに政権を任せると何をしでかすかわからない」と、国民を恐怖のどん底に叩き落した。 かくして、自民党が如何なる失政を行おうが、国民は許した。他に選択肢がないのだから、許すほかない。 選択肢が三つ必要かどうかはさておき、最低でも二つ無いと、ゼロと同じなのだ。今の日本には選択肢がないに等しい。だから、野党第一党が極めて重要なのだ。
自民党総裁選に隠れた立憲民主党の代表選挙
今回、与党の自民党総裁選とほぼ同時並行で、野党第一党の立憲民主党の代表選挙が行われた。自民党の陰に隠れがちだったが、それなりに目立った。スキャンダルだらけの日本維新の会は悪目立ちし、国民民主党はすっかり埋没した。 では、どうなったか。 真っ先に立候補したのが、野田佳彦元首相。「悪夢の民主党政権」で最悪の首相となった人物だ。デフレ下で消費税増税を強行、いまだに日本が景気回復できない元凶だ。 辞め際には、「僕は小学校の通信簿でも正直者と書かれたのが自慢だ。嘘つきと言われたくない」と驚愕の理由で衆議院を解散した。 解散総選挙を迫っていた安倍晋三自民党総裁の方が動揺、声が裏返っていた。結果は民主党が惨敗。それでも最善を尽くすならともかく、自民党への対抗などそっちのけで、自分を裏切った小沢一郎陣営に対し刺客を送り、共倒れが続出。安倍長期政権の礎を築いた。 次に名乗りを上げたのが、枝野幸男元代表。2021年の総選挙では、国民民主党と社民党に解党を迫り、共産党には選挙協力を要求しながら「近づくな」と強要。野党共闘の名目で散々な迷惑をかけながら議席を減らし100議席を割る大惨敗。その責任者が「もしかしたら選挙に勝てるかもしれない」と名乗りをあげた。 現職の泉健太代表に対し、「泉には実績がない」とマイナスの実績しかない老害、もといベテラン二人が名乗りをあげた。特に野田元首相の切り崩しは猛烈で、現職代表でありながら泉代表は20人の推薦人も集めるのに苦労した。 こんな泉代表に対し、「存在感が無い」ともっと存在感が無い中堅が名乗り。結果、1年生議員の吉田はるみ衆議院議員を「ジェンダー平等を主張している党で女性が出馬できないのはまずいだろう」と出馬させた。