ヨーロッパ最大級の鍾乳洞・メキシコの水中洞窟・ベトナムの洞窟河川・・・異世界につながる洞窟の世界遺産【世界遺産/アグテレク・カルストとスロバキア・カルストの洞窟群(ハンガリー・スロバキア)】
これらは「セノーテ」と呼ばれる泉で、実は水中洞窟の入り口なのです。3000ともいわれるセノーテがあり、それが地下でつながっていて迷路のような水中洞窟が広がっています。 番組で水中撮影を行ったところ、内陸にあるセノーテの中で海にいるはずのウツボを発見。そこから水中洞窟をたどっていくと、抜け出た先はカリブ海でした。つまり内陸のジャングルにあるセノーテとカリブ海は水中洞窟によってつながっていたのです。 ユカタン半島を中心に栄えたマヤ文明は、セノーテを「聖なる泉」として崇めました。水中洞窟では人骨らしきものも撮影したのですが、それは人身御供の習慣があったマヤ人が聖なる泉・セノーテに捧げたものと考えられています。 ■洞窟河川が生んだ不思議な絶景 3つ目の異世界につながる洞窟があるのは、ベトナムの世界遺産「チャンアンの景観」。空から見ると、森に覆われた山々と川が流れる渓谷というありがちな風景ですが、実は山々を貫く洞窟がたくさんあり、そこを川が流れているのです。 こうした洞窟河川は約50もあり、番組では渓谷から船で出発し、洞窟内を撮影しました。山と川が接するところに洞窟の入り口があり、そこから洞窟河川に入っていきます。抜けるとまた渓谷、そこにまた別の洞窟河川の入り口があり、それが他の渓谷につながっている・・・という具合に洞窟河川によって無数の渓谷がつながっていたのです。 とりわけ異世界感たっぷりだったのは、真ん丸の島が浮かぶ渓谷に抜け出たとき。上空から撮影すると、まるでコンパスで描いたような真円形で人工物のようなのですが、自然の川の流れが生んだものと考えられています。 メキシコのシアン・カアンも、ベトナムのチャンアンもやはり石灰岩の大地です。それが雨水で浸食されて水中洞窟や洞窟河川が生まれました。このように石灰岩と世界遺産は深ーい関係があるのです。 執筆者:TBSテレビ「世界遺産」プロデューサー 堤 慶太
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