【高尾美穂医師が解説】更年期うつは普通のうつ病と違う?何科に行けばいいの?
Q. 家事もする気になれず、家族からなまけ病だと言われます。病院に行くべき?
A. うつのサインで判断を! 朝からやる気が起きない、何かに取り組む意欲が出ない…。そんな不調を感じても、どうしていいのか困ってしまう。まわりからはただ怠けているだけと思われることも。 「少し重いメンタル不調にはふたつのサインがあります。ひとつは『特別なことがあったわけでもないのに涙が出る』こと。もうひとつは『大好きなことをやる気になれない』状態です。これらのサインがあったら、専門医に相談するのがいいでしょう」 ◆これがあったら更年期うつかも… ●わけもなく涙が出る 悲しいことやつらいこと、感動したことがあったわけでもないのに、自然と涙が出たら要注意。 ●好きなことをやる気になれない 好きでやっていた趣味や推し活も、やる気になれない。何にも関心が持てないのはうつの可能性大。
Q. 職場で集中力も段取り力も低下。もう仕事は無理?
A. 更年期を理由に退職する必要はありません 「日本人の閉経年齢の中央値は50.54歳。そこから考えると更年期の平均は45~55歳あたりに。この年代はちょうど仕事で、管理職など責任のある立場になる年齢でもあります。実際に私のクリニックにも、仕事に支障をきたすほどのメンタルダウンに悩んで、来院する更年期世代の人が多くいます。 それを理由にそのポストを断念したり、退職したりする必要はありません。更年期であることをひたすら隠すのではなく、まわりに一定の理解をしてもらいつつ、健康管理をするのも社会人の義務です。 今はホルモン補充療法(HRT)などを選ぶことで楽になる人がたくさんいます。治療を積極的に受けることも大切です。更年期の知名度は上がってきていますが、もっと理解のある社会になっていくといいですね」 次回は更年期不調対策としてあげられるHRT(ホルモン補充療法)の種類や投与法、1ヵ月の薬代の目安などについて教えてもらう。 【教えてくれたのは】 高尾美穂さん 産婦人科医、医学博士。イーク表参道副院長。産婦人科専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。ヨガ指導者。婦人科の診察を通して女性の健康を支える。テレビや雑誌、Webなどでの心や体の悩み相談をはじめ、音声発信アプリstand.fmで毎日発信している「高尾美穂からのリアルボイス」は、再生回数1100万回を超える人気番組。著書多数 構成・原文/山村浩子