シンガーソングライター灯橙あかが語る、歌うことで見つけた「拠りどころ」
小説の登場人物の絵を描いてスタートした作曲
小説の登場人物の絵を描いてスタートした作曲 最新曲「今夜、死にたいと思った。だから、歌いたいと願った。」は、小説の世界観を題材に音楽を制作する「オトトモジ」というプロジェクトから生まれた。今回題材となったのは、『今夜、死にたいきみは、明日を歌う』という小説だ。これを題材に、どのようにして作曲に向かったのだろうか。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 小説紹介: 『今夜、死にたいきみは、明日を歌う』(此見えこ著、双葉社) クラスであまり目立たないタイプの主人公「あかり」は、音楽の授業で自分の歌声を褒めてくれた男子生徒に密かに恋心を抱き、ネット上で匿名の歌い手「ともる」として活動を始める。ある日自分の動画が「バズり」、ネットで話題になると、普段あいさつすら交わさないような同級生たちの話題にもなり、教室で「ともる」の話をしている――。そんなあかり(≒ともる)を中心に、縦横に重なり合う5人の高校生の群像劇。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ―小説の主題歌というのは珍しいことだと思います。最初に聞いたときはどう思いましたか? 面白そう、と思いました。物語からイメージを広げて1曲を作るという経験もなかったので。 ―小説を読んだ感想はどうでしたか? 主人公のあかりはすごく自分と似ているところがあるなと思いました。あと、5人の登場人物の群像劇なんですけど、全員性格も境遇も違うのに、抱えている葛藤とか悩みに全部共感できちゃうのがすごいなと思いました。 ―私も読んだんですけど、灯橙さんをモデルに書いたのかな、とすら思いました(笑)。 本当そうですよね(笑)。作者の此見先生は私が見えてるのかなと思いました。 ―さっきの灯橙さんの学生時代の話を聞いて、よりそう思いました。ちなみに物語の続きはどうなると思いますか? 主人公のあかりは歌い手としてネット上でじわじわバズっていくわけですが。 続き読みたいですよね(笑)。あのまま頭角を現していってほしい、と思いました。 ―灯橙さんの好きなキャラクターはいますか? 月歩(つきほ)ですね。控えめな性格なんだけど、物語の後半になるにつれて自分を出そうとして変わり始める姿に、頑張れ~と思いました(笑)。 ―ありがとうございます。ネタバレになるのでこのあたりにして……。そんな小説を題材にした「今夜、死にたいと思った。だから、歌いたいと願った。」の曲作りについてですが、どうやって小説からイメージを広げていったんですか? 普段の曲作りにはない作業だと思うんですけど。 最初にやったのは、登場人物が抱いている感情を洗い出して、それが誰に向けられているものなのかを、簡潔に整理するという作業を、5人分やりました。 ―5人分の整理というのは具体的に。 ノートに書いたんです。歌い手としての「ともる」がいて、そこにこの人物はどう関わっているのか、みたいな。そのなかから、小説のなかの登場人物だけではなく、これは誰もが思うことだよねっていう部分を抽出していき、歌詞に繋げていく感じです。なんとなくのイメージで、登場人物の絵も描きました(笑)。こういう作業は初めてやりましたね。 ―そのノートは、とても興味深い資料ですね……。ぜひ、このインタビューが公開されたあと、SNSにアップしていただきたいです。ちなみに、歌詞のなかに小説のキーワードになるようなフレーズも出てきます。 「ぐちゃるイヤホンコード」とかですよね。小説のなかで印象に残った単語や物とかは、書き留めたりしてました。けっこう、何回も読み込みましたよ(笑)。