日本の宇宙企業、IPO初日の上昇率21年以降で最高-ECMウオッチ
(ブルームバーグ): 宇宙ごみ(デブリ)の除去技術を開発し、5日に東京証券取引所グロース市場に新規株式公開(IPO)したアストロスケールホールディングスの上場初日の株価上昇率は、過去3年以上の国内IPO銘柄の中では最高のパフォーマンスとなった。
アストロスケールが5日形成した初値は1281円と、公開価格の850円に対し51%高。その後1581円まで買われたが、終値は1375円となり、初日の上昇率は62%だった。ブルームバーグが集計したデータによると、初日の上昇率としては2021年3月に上場し、知識・スキルのオンライ出品や法律相談を手がけるココナラ以来、同規模以上の国内IPOでは最大だった。
公募とオーバーアロットメントを含む売り出し株式数の合計から算出した公開時の資金調達額は約238億円。過去5年間に1億ドル(約156億円)以上を調達した企業の初日の平均上昇率が6.8%だったことと比べても、アストロスケールは好スタートを切ったと言え、今年に入り低迷していた日本のIPO市場にとってもポジティブな材料となった。
東証が上場企業に対し資本コストと株価を意識した経営を求めていることはコーポレートガバナンス(企業統治)の改善や株主還元の強化につながっており、日本の主要株価指数は他のアジア各国をアウトパフォームしたが、株式資本市場にはまだ反映されていない。ブルームバーグのデータによると、新株の売却で得た利益は年初から約50%減少している。
アストロスケールの資金調達額は、3月に上場した福岡が地盤の小売り大手であるトライアルホールディングスの約447億円に次ぎ今年2番目の規模。アストロスケールの6日終値は1101円だった。
創業者の岡田光信最高経営責任者(CEO)はブルームバーグとのインタビューで、衛星の急激な増加に伴いデブリも急増しており、宇宙空間が持続的に利用できなくなるのは明らかだと指摘。デブリのリスクは予測不可能だが、「不確実だからこそやる意味があると思っている」と語った。