全長4m以下!? 新「5ドアハッチ」登場! 「小さなスポーティ車」何が凄い? 日本導入もアリ得る? 「A290」の印象は?
そんな2台と比べての、アルピーヌA290のイメージはピュア。運転に対するコーチング機能といったZ世代向けと思われるまるでゲームのような機能やエンジンを模しただけではない疑似的なサウンドもあり、それはミニの感覚にも近いといえるでしょう。 でも、MINIと大きく違うのは走りで勝負している感じがひしひしと伝わってくること。 ハンドリングでいえばアバルト500eのように極端にキビキビさせる味付けではなく、また「メガーヌR.S.」や「ルーテシアR.S.」のようにグイグイ曲がる感じでもなく、スッと自然に曲がるナチュラルな感覚が特徴。MINIのようにクイックさを過剰に園主するようなクセはありません。素直で自然なのです。 刺激的というよりは心地よさを感じるもので、マニアではなく多くの人を狙ったものでしょう。運転好きなら「なんか楽しい」、そうではない人も「妙に気持ちいい」と感じるのではないでしょうか。 もちろん、サーキットでもしっかり楽しむことができ、深く回り込んだコーナーをハイスピードで曲がっても外側に張り出さないライントレース性の高さが印象的でした。 加速も同様で、高性能EVにありがちなアクセルを踏み込むと急激にトルクが立ち上がってドカン!と加速するタイプではなく、自然に伸びていくガソリンエンジン車に近い感覚にセッティングされています。 これならガソリン車から乗り換えても、違和感なくなじめることでしょう。また、このパワーの出し方の味付けはアクセル操作でコーナリングラインを調整するような運転テクニックにも貢献しています。 アバルト500eほど強い走りのキャラクターではなく、ミニクーパーSEほど先進過ぎない。もっと万人向けで「ちょうどいい絶妙なニュートラル感」がA290のキャラクターと言えるでしょう。
A290のキャラクターはどんな人との相性がいい?
ではA290はどんな人との相性がいいのでしょうか。 航続距離は380km(欧州WLTPモード値)あるものの、東京起点で考えると箱根往復でギリギリ、軽井沢往復も厳しいという状況なのでやはりセカンドカーとしての所有がベターでしょう。 1台はハイブリッドもしくはガソリン/ディーゼルのクルマがあり、街乗り中心とした近距離用のコンパクトで扱いやすくスポーティなクルマとして持つのがいいと思います。 そう考えているからこそアルピーヌは、ルーテシアR.S.やメガーヌR.S.のようにサーキットを前提とした熱血体育会系のマニアックな味付けとせずに、程よくスポーティな仕立てにとどめたのでしょう。
日常で乗りやすく、気軽にスポーティさを感じられるコンパクトカー。 アルピーヌA290はそんなスニーカーのような存在だと市場を通じて感じました。 「せっかくのアルピーヌなんだからもっと尖ったクルマが欲しい」 もしかするとそう感じるファンもいるかもしれません。 そんな人に向けては「A110後継モデル」なども今後の発売に向けて鋭意開発中であることもお伝えしておきましょう。 今後のアルピーヌは「ハードなスポーツモデル」と「激しすぎずスポーティにまとめた気軽なモデル」の2つの方向性でラインナップを増やしていくようです。
工藤貴宏