全長4m以下!? 新「5ドアハッチ」登場! 「小さなスポーティ車」何が凄い? 日本導入もアリ得る? 「A290」の印象は?
それでA290は「ライバルと比べてどうなのか?」
EVのホットハッチと言えば「アバルト500e」や「ミニクーパーSE」でしょう。 スペックは、アバルト500eが全長3675mm×全幅1685mmのボディに最高出力155ps/最大トルク235Nmのモーターを搭載。ミニクーパーSEは全長3860mm×全幅1755mmで218ps/330Nmのモーターを組み合わせます。 こうして並べてみるとアバルト500eはAセグメントに属するだけあって本当に小さいし、比べるとミニは意外に大きい。そして A290はミニクーパーよりもさらに一回り大きく、狭い場所での扱いやすさでは負けるものの、後席や荷室の広さといった実用性では確実にリードしています。 リアドアも備える5ドアだから、アバルト500eやミニクーパーSEでは厳しいファミリーユースもこなせるのがアドバンテージです。 気になる走りはどうでしょう。 アバルト500eで感じるのはアバルトファン、つまり「サソリ(アバルトのアイコン)に毒されちゃった人」の人のために伝統を盛り込んで作られたクルマだということ。 たとえば音の演出。本来ならばEVなので排気音などしないのですが、わざわざ車外にスピーカーをつけて疑似的な排気音を聴かせているのです。 音は、「レコードモンツァ」と呼ばれるアバルトの定番マフラーの排気音を模したもの。しかもかなりの大音量(オフにもできる)でビックリ。 インテリアの仕立ても、たとえばダッシュボードのメーターパネルの形状はアナログ風で「EVだから先進的に」というよりも「これまでのアバルトから乗り換えても違和感なく」と考えられているのが伝わってきます。 走りはキビキビ。過剰なほどにシャープでクイックに向きを変える一方、乗り心地も突き上げ感多めのじゃじゃ馬的。EVになっても、リトルダイナマイト的な刺激は忘れていません。かなり尖ったキャラクターです。 個性を強調してこれまでのアバルトオーナーを振り返らせ満足させる、ファンのためのクルマと言ってもいいでしょう。 いっぽうのミニクーパーSEは、ひとことでいえば新しさとゲーム的な遊び心の演出を詰め込んだアトラクション。クルマ好き向けというよりは「ミニに乗る」というライフスタイルをイメージさせるクルマです。 モーターは3台のうち最もパワフルで加速は鋭く、車体やサスペンションもしっかり作られているので走りはかなりレベルが高い。アバルト500eほどの過激さはないけれどしっかりスポーティです。そこは本格派です。 ただ、実際に運転して感じるのはスポーティ感よりも「新しさ」とか「演出」。「ゴーカード」モードにしてアクセルを踏み込んだときに流れる、ワープするかのような電子音はまるで「マリオカート」でもプレイしているかのようなゲーム感覚で新しさを実感。排気音を忠実に再現したアバルト500eとはまるで対照的なのです。 それはインテリアも同様で、ダッシュボードに添えたメーター兼センターディスプレイはまさかの円盤型で常識外れ。アバルト500eがクラシカルなのに対し、ミニクーパーSEはまるで対照的なモダンさです。