月収60万円なのに軽バンでの“車上生活”を続ける28歳Amazon配達員「いつかは地に足をつけた生活をしたい」
家を借りるよりも安い
個人配送業としての働き方はわかった。では、そもそもなぜかなりの稼ぎを叩き出しているはずなのに、なぜ木村さんは家のない生活を続けているのだろうか。 「僕の場合、車が家なのでいつでもリラックスできるんですよ。あと車の維持費が、リース代月3万円、ガソリン代が約4万円、保険が1万4000円。月1回3000キロごとのオイル交換が3000円で、住むところの出費が約8万7000円と、家を借りるよりもかなり安く済ませられるのがあります。主な寝床はインターネットカフェの駐車場なので、駐車場代もかからないです。あ、ちゃんとインターネットカフェは利用もしていますよ」 車の中だけだと収納スペースに限界があり不便だが、インターネットカフェも活用して、限りあるスペースでうまくやっているようだ。 「インターネットカフェは宿泊ではなく、シャワールームを利用しています。車の中に積んでいる服も、着用後はビニール袋にまとめて、溜まってきたら一気にコインランドリーで洗濯して乾燥機をかけています。また、現場の倉庫に前乗りして睡眠をとってから仕事に向かうようにしています。駐車禁止が書いてない白線のところに止めて夜20~朝7時は注意もされないので寝ています。そうすると寝起きにすぐ仕事にかかれるので、かなり調子が良いです。本当は全国を旅しながら働きたいところですが、配送の仕事はやはり都内に集中しているので難しそうです」
台風の日や雪の日は地獄
作業開始時間が遅い場合はインターネットカフェの駐車場で寝ることもあるという。この仕事を始めてから、慣れるまでは様々な困難があったようだ。 「ツラいのは駐禁ですね。例えば日給が1万9000円の仕事の時に駐禁を食らうと罰金で1万5000円持っていかれるので、自業自得ですが手取りが4000円になります。雨の日も、荷物が濡れちゃうとクレームの対象になるので台風の日や雪の日は地獄です。クレーマーのお客さんに当たると大変です。『このダンボール潰れてるんだけど』『直接受け渡しにしたのに置き配にしたな』とか。こういうのもペナルティの対象になってしまいます」 どこの配送サービス化は言えないが、聞いたところによると、木村さんの周りでは配達員の不正も日常茶飯事で行われているそうだ。 「配達員側で荷物をパクる人もいましたね。車の中に最初から荷物が入ってなかったと申告して自分のものにしちゃう人とか。その人はバレて契約を切られていましたけど。基本的に変わった人が集まってくるのでトラブルも必然的に多いですね。1人で淡々と作業するのが好きな人には向いていると思います。僕は人間関係がうまくできるタイプじゃないので天職だとは思っています」