「巨人の星」原作の父から影響 根底に優しさ 「オーイ!とんぼ」のかわさき健さん(下)
プロゴルファー志望から漫画原作者に転向したかわさき健さん。「巨人の星」などで知られる漫画家の父、川崎のぼるさんとの思い出が「オーイ!とんぼ」という作品作りの源流となっている。作品を通じて伝えたいゴルフの魅力などを聞いた。 【写真】「オーイ!とんぼ」の原作者のかわさき健さん ーーゴルフの研修生から漫画の原作者へ 「5回目のプロテストに落ちて、これからどうやって生きていこうかなとぼんやり浮かんだのが、漫画の原作だった。学芸会の脚本を書いたこともあって、物語を考えるのは好きだった。たまたま当時ヤングマガジンで公募があって、初めて書いて投稿したのが採用されて、商業誌デビューをした」 ーー原作者デビューに対し父・川崎のぼるさんの反応は 「父から『ゴルファーでいるならプロテストに受かったのと同じなんだぞ』といわれた。何バカなことをいうんだと反発したが、『デビューしたくて、何年もかけているところを、あっという間に飛び越えていく人がプロゴルフの世界でもいただろう』。『お前はこっちには才能があるんじゃないの』と。でも、連載をもらうまでは7年。ゴルフと同じくらいの年月がかかった。そのときは子供も生まれていて、『絶対この世界で生きていく』という気持ちだった」 ーーゴルフ以外に挑戦したいジャンルは 「西部劇を書いてみたい。父の『荒野の少年イサム』が好きだったので。あとはフランスの革命期の話。想像の赴くまま書いてみたい」 ーー父との関係は 「幼少期の思い出はほとんどない。仕事ばっかりだったので、母子家庭みたいなものだった。自分が原作を手がけるようになってからはすごく濃い関係になった。父は僕が漫画の世界に入って喜んでくれているのかもしれない。父の仕事場にアシスタントさんも10人くらいいて、たばこの煙がもうもうで子供がいられる空間じゃなかった。父との会話もなかったし、たまに夕飯を一緒に食べることはあったくらい。基本、優しい人だけど、ピリピリしていた。でもゴルフを教えてくれたのは父だった。親父としても、一人の男としても尊敬しているし、自分もああいう親でありたいと思っている」 ーー作品は「懐かしい」「昭和の香りがする」と評判