【綾瀬はるかさんインタビュー】はじめての長期休暇。作品と離れることで気づいた、本当の思い
走り疲れてついに歩調をゆるめた“旅人・綾瀬はるか”は気づくんです。「やっぱり忙しいのが好き」って(笑)──Haruka
▶10代の頃の自分に逆戻りしたような感覚になれた 作品から離れてお休みに入るとき、決めたことがひとつ。それは「次回は縁や運命を感じた作品に出演したい」ということ。そんな綾瀬さんの願いを叶えたのが、映画『ルート29』でした。 「まず、森井(勇佑)監督が私と同じ年だったんです。CMの現場などで同年代や若い監督とご一緒することはあっても、映画ではなかなか珍しくて。また、森井監督の作品『こちらあみ子』が私は大好きで。今作にはあみ子を演じていた大沢一菜ちゃんも出演すると聞いて“会いたい!”と。人に惹かれ、人の縁を感じて、今作の出演を決めた感じなんです」 約1カ月、鳥取県を中心にオールロケで行われた撮影。「キャストもスタッフも少人数。現場はとてもアットホームな雰囲気で。まるで大家族の夏休みのようだった」と綾瀬さんは振り返ります。 「久々の撮影もすごく楽しくて。森井監督は現場で感じたものを大事にする方なのですが。驚いたのが、テストをせずに本番に入ること。それはまるでドキュメンタリーを撮っているようで。例えば、私が演じるのり子が一人で家にいるシーンでは、実際に私を部屋に一人きりにしてくれて、“感じたら始めてください”と言ってくれるんです。なんだろう、絵とか演技というよりも、その場の空気や心の動きを撮りたいという思いが伝わってきて……。ああ、この現場、すごく好きだなって」 それは、どこか懐かしい感覚でもあったそうです。 「10代の頃、ショートフィルムを撮ることがよくあったんですけど。作品の作り方も、現場の雰囲気も、あの頃の感じにどこか似ていて。それだけでなく慣れないお芝居に悩む、あの頃の私も蘇ってきたというか。というのも、今作では監督から“演じないでください”って言われたんです。それは、今まで身につけてきたものを全部削ぎ落とすような作業で、本当にとても難しくて。でも、すごく新鮮で楽しくもあったんです」