子どもが安全に自転車に乗るためには? 団長安田に聞いた“自転車親子コミュニケーション” #こどもをまもる
なぜ逆走は危険? 知ってる人を少しずつ増やしていくしかない
――街を見ると、自転車で逆走(右側通行)をしてしまう人は多いように感じます。前提として、なぜ自転車の逆走は危ない行為なのでしょうか。 団長安田: 前に娘たちからも、なんで逆走が危険なのか質問されたことがあります。僕は「逆走したら、自転車と車がお互いにスピードを出して近づくことになる。車のドライバーは、すごいスピードでこっちに迫ってくる自転車を避けなあかんから危険やろ?」って説明しました。左側通行をしていれば、同じ方向にスピードを出してるんで、車が自転車を追い越す速度もゆっくりになって、危険は少なくなりますからね。 僕は、自転車の事故を減らしていく上で大事なのは、まず逆走をなくすことだと思ってます。2008年の道路交通法の改正で、「自転車は原則車道の左側を走りましょう」と定められました。でも、あの当時ニュースでバンバン取り上げられていたのは、「自転車は車道を走る」という部分ばかりで、「左側通行」の部分が足りてなかった印象があるんです。 まだまだ平気で逆走をしている人がいますけど、その人たちはなぜ危険なのか知らないんですよね。知らないと、子どもにも教えられない。僕も前はそうでした。自転車を楽しめればいいやぐらいの気持ちで、まるでなにもない草原を走っているかのような自由な乗り方をしてたんです。でも、ロードバイクに乗るようになって、さまざまな自転車ユーザーと話す機会も増えて、楽しさを知る反面、その危険性も学びました。学んだことをもっと広げるために、子どもに教えるイベントにも行くんですが、その時によく「家に帰って、お父さんお母さんお友達にも教えてあげや」と言っています。危険だと知っていたら、みんなやらないと思うので、知っている人をちょっとずつ増やしていくしかないんですよね。 ――今年8月には、警察庁が、自転車交通反則通告制度(通称・青切符)の導入を検討していることが発表されました。 団長安田: 僕はどちらかというと、ルールが厳しくなっていくのは悲しい気持ちです。でも、ルールを守らない人や知らない人が多いのも事実なので、いい機会になればとも思います。 この件について、「子どもにも青切符を切るのか?」という議論もあるみたいですが、子どもであろうが大人であろうが、ルール違反はルール違反なので、僕は子どもでも例外はないと思っています。大事なのは、違反したことで「これはいけないんだ」と知ること。悪いことしたなと思って、直すきっかけになればいいんじゃないかな。 ――車や自転車のドライバーとして公道を走るにあたって、どのような心構えが大切だと思いますか? 団長安田: みんなに優しくなってほしいです。正しい交通ルールを知らない人も、やっぱりいるので。特に昔から自転車に乗ってきたおじいちゃんおばあちゃんは、逆走や左側通行のことは今ほど言われて育ってこなかったし、今から変えるのはなかなか難しい。若い人であっても、間違えてしまうことは当然あるし、常に100点の人なんていません。だからこそ、もし誰かが間違った乗り方をしていたら、「ルールを知ってる自分が、ちゃんと避けてあげよう」って気持ちでいることが大事なのかなと。 そりゃあ僕だって、生活してると心に余裕がない時もありますよ。でも「イライラするし、もう強引に行ってまえ!」っていう一瞬の無責任さが、事故の原因になると思うんですよね。人を殺す気も傷つける気もないって人が世の中の大半だと思いますけど、その場のイラだちに任せて行動すると、とんでもないことになる可能性があるってことを、ちゃんと自覚しておきたいです。 === 団長安田 1974年4月26日生まれ。兵庫県出身。2001年、お笑いトリオ「安田大サーカス」を結成。番組の賞品でロードバイクをもらってから本格的に自転車に乗り始める。2012年には実業団チームの入団テストに合格し、芸人初の実業団登録選手になる。各地のロードレ―スに参加するほか、交通安全のイベントにも参加している。 「子どもをめぐる課題(#こどもをまもる)」は、Yahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の一つです。 子どもの安全、子どもを育てる環境の諸問題のために、私たちができることは何か。対策や解説などの情報を発信しています。