「6浪で医学部合格」秀才だった彼女の選択の過ち 受験科目の選択ミスが人生を大きく左右した
「周囲の『医学部に行く人はみんなこれを選んでいる』という情報を盲信して、物理と地理を選択してしまったんです。それがみるみるうちに成績を落とす原因になりました。自分の適性を考慮せず、「周りがみんなやっているから」と思考が停止してしまい、自分が苦手な科目を選んでしまったんです」 R.さんが得意とするのは暗記中心の文系科目。暗記の能力が生かされる生物や歴史(日本史・世界史)を選択したほうが彼女自身に合っていたはずなのですが、それにもかかわらず、彼女が選択したのは物理や地理といった、計算力などの理系能力がより問われる科目でした。
中学まではまだ数学や理科も何とかこなせていたために、深く考えずに周囲の理系科目が得意な人々と同じ選択をしてしまったのです。 ■1番だった成績がどんどん落ちていった 彼女も後に「自分の適性を生かすのであれば、物理じゃなくて生物、地理じゃなくて日本史や世界史をそれぞれ選択するべきでした」と振り返ります。 「1番だった成績は、どんどん落ちて20番……真ん中くらいになりました。この時期から大好きだった勉強がつらくなりましたね」
それでも、人と違う選択をする恐怖と、一度選んでしまった科目を変えてはならないという「強迫観念」に追い詰められ、彼女は「このまま突き進むしかない」と思い込んでしまいました。そのため成績は3年生の最後まで振るわず、医学部にまったく届かない結果に。R.さんはこうして浪人生活をスタートさせます。 「医学部以外の進路は考えていませんでした。普通の人は浪人を決断するのにも葛藤があると思うのですが、私の場合は目標を達成する過程で必要なことだったので、悩みませんでした。『浪人を決断した』んじゃなくて、『気づいたら突入していた』んですね」
「1~2浪すれば受かる」と思っていたR.さんですが、ここから彼女の浪人生活は6年にも及ぶことになります。 1浪目に「突入した」R.さんは、駿台予備学校に通いながら医学部を目指して勉強する日々を送りました。しかし、次第に自分が目指す医学部が思っていたよりも甘くない場所だということに思い悩みます。 「浪人生活を始めて気づいたのは、前年度にギリギリ落ちた人が大勢予備校に通っているということです。合格確実だろうという成績の人を目の当たりにして、現役のときにまったく医学部の成績に及ばず、E判定ばかりだった自分にはきついと思いました」