「身長が縮んだ」「酒・タバコ好き」は要注意「骨粗しょう症になりやすい人」に共通する10大リスク
「毎晩深酒」も要注意
(3)若い頃よりも身長が低くなった 25歳の頃よりも2~4cm以上の身長低下がある場合には、椎体骨折(いつのまにか骨折)を起こしている可能性が高く、まだ起こしていない場合でも、椎体骨折のリスクは2.8倍もあります。日常的な症状としては、「洗濯物を高いところに干せない」「高い棚に手が届かない」といった不便を感じる方が多いようです。 (4)喫煙者である 喫煙は、女性ホルモン(エストロゲン)の働きを悪くしたり、腸管でのカルシウム吸収を抑制して、尿中への排泄を促進する作用があります。そのため、喫煙習慣のある人はない人に比べて骨折のリスクは1.26倍、大腿骨近位部の骨折リスクは1.84倍もあります。 (5)お酒の飲み過ぎ 過度の飲酒も喫煙同様、腸管でのカルシウム吸収を妨げ、尿中に排泄してしまい、骨粗しょう症のリスクを高めます。 1日3ドリンク=アルコール換算60g以上(アルコール度数が5%のビール中瓶1本500飲む場合、その5%にあたる25gにアルコール比重の0.8をかけて、「純アルコール量」は20gになります)の飲酒で、骨粗しょう症性骨折のリスクは1.38倍、大腿骨近位部骨折のリスクは1.68倍にアップします。 (6)45歳未満で閉経した 45歳未満で閉経を迎えることを「早期閉経」といいますが、女性の骨粗しょう症は特に閉経後に急増します。50代からは背骨の骨折、さらに70代以降では大腿骨近位部の骨折が多くなることが知られています。 理由は女性ホルモンであるエストロゲンの欠乏。骨量は40歳以降、毎年0.3~0.5%が失われますが、閉経後はこれがさらに加速し、約5~7年間は約3~5%も失われていきます。 そのため同じ年齢でも、閉経している人は閉経していない人よりも骨粗しょう症のリスクが高くなってしまいます。 ※参照:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015版、骨粗鬆症─ 筋骨格系疾患と結合組織疾患─MSDマニュアル プロフェッショナル版(msdmanuals.com)
---------- 斎藤充(さいとう みつる) 1992年、東京慈恵会医科大学卒。2020年より現職。日本骨代謝学会理事、日本骨粗鬆症学会理事、日本人工関節学会理事などを兼務。骨代謝の診断・治療・研究で国内外を牽引する。 ----------
斎藤充