ホンダ新型V型3気筒「RCV850(仮)」のピボットレスフレームとは? 軽快さを重視したV3マシンのシャーシを解説
SPLはガチのレース車には使われなかった
1997年に登場したVTR1000Fはストリートマシンという位置づけで、当時のホンダはレースにはV型4気筒のRVF(750cc)を主力にしていた。しかし、当時のスーパーバイクでは1000cc級のドゥカティが圧倒的な強さを見せており、モリワキが独自にレースで開発を行った。 そして、ホンダも腰を上げ2000年にホモロゲーションモデルのVTR1000SP-1を発売し、VTR1000SPWがワークス参戦。ついにライダータイトルを得るに至っている。一方で、VTR1000FのSPLフレームは通常のツインチューブに、サイドラジエターはレースでは撤廃された。 ただし、VTR1000Fの技術が消えた訳ではなく、2002年のRV211Vではユニットプロリンクサスペンションに発展。これはリアサスの上側のマウントを廃することで後輪からの外乱をフロント側に伝えにくくすることを目的にしており、SPLのエッセンスを応用したものと言える。 そして、2020年のCBR1000RR-Rでは、リアサスペンションの上部をエンジンに直接マウントし後輪からの外乱をフロント側に伝えにくくしている。ユニットプロリンクとともにフレーム側のリアサスマウントがなくなることで軽量化にも貢献している。 これら約30年に渡る蓄積が、新V型3気筒マシン「RCV850(仮名)」に生かされていることを期待したい。
市本行平