副作用は大丈夫? 喘息・アレルギーで使用する「ステロイド薬」の治療効果も医師が解説
喘息やアレルギーの治療薬としてステロイドを処方されることがあります。一方で、ステロイドによる副作用が気になる人も多いのでは? ステロイドの効果や注意点などについて、横浜フロントクリニック の尾上先生にMedical DOC編集部が聞きました。 【イラスト解説】「老化」が進むと起こる体の変化
喘息やアレルギーの治療薬で使うステロイド(副腎皮質ホルモン)について教えて 吸入ステロイド薬・内服薬や塗り薬の違いは?
編集部: 喘息やアトピー性皮膚炎など、アレルギーの薬でステロイドを使いますが、そもそもステロイドとはなんですか? 尾上先生: ステロイドとは、副腎から作られる副腎皮質ホルモンのひとつ。薬として服用すると、体内のさまざまな炎症を抑えることで、喘息やアトピー性皮膚炎などに伴う諸症状をコントロールすることができます。 編集部: なぜ、そのステロイドをアレルギーの治療で使うのですか? 尾上先生: アレルギー性疾患を発症した場合には、アレルギー反応から体内でさまざまな炎症が生じています。喘息では気道に炎症が生じていますし、アトピー性皮膚炎では皮膚に炎症が起きています。ステロイドはそうした炎症を治める効果が期待できるのです。 編集部: ステロイドといっても吸入薬や内服薬、点滴など、いろいろあります。 尾上先生: はい、それぞれに特徴があります。ステロイド吸入薬は直接気道に届いて作用するので、内服よりもごく少量で済み、全身への副作用を抑えることができます。一方、内服薬や点滴の場合は炎症を抑える効果が高い反面、さまざまな副作用が全身に生じます。 編集部: 塗り薬もありますよね。 尾上先生: はい、塗り薬は患部に直接塗ることができるので、たとえばアトピー性皮膚炎の治療に効果的です。 編集部: そのほかにはどんなタイプの薬があるのですか? 尾上先生: 患部に直接、注射をするタイプもあります。この場合は炎症を抑えるだけでなく強力な鎮痛作用も持つため、関節炎や腱鞘炎など痛みを伴う炎症に効果が期待できます。
喘息やアレルギー治療でステロイド薬の効果は高い? 効果が出るまでの期間や副作用についても医師が解説
編集部: 喘息やアレルギー性鼻炎でステロイドが使われる場合、効果は高いのですか? 尾上先生: はい、吸入タイプのステロイド薬は非常に高い抗炎症作用があるので、喘息の治療では欠かすことができません。また、アレルギー性鼻炎では点鼻のステロイドが処方されることも多くあります。 編集部: 使用して、どれくらいで効果が期待できるのですか? 尾上先生: 喘息の治療で吸入タイプを使用する場合には、効果が現れるまで3日~1週間ほどかかるとされています。中断すると効果がなくなってしまうので、長期にわたって使用することが必要です。重症化するリスクがあるので、自己中断は避けるべきです。 編集部: 点鼻薬の効果はどれくらいで現れるのですか? 尾上先生: 即効性があり、治療を開始してから数日で効果が期待できます。 編集部: 塗り薬にも即効性はあるのですか? 尾上先生: はい、特にかゆみは数日で改善できるでしょう。ただし、アトピー性皮膚炎などでステロイドの塗り薬を使う場合にも、自己判断で中断しないことが大切。 よく、「症状が良くなってきたから」といって、自己判断で使用を中断してしまう人がいるのですが、そうするとかえって治りが悪くなります。治療をやめるタイミングは必ず医師に確認するようにしてください。 編集部: 副作用はないのですか? 尾上先生: 一般に、局所投与の場合は、ほとんど副作用がないとされています。ただし吸入タイプの治療薬は、口のなかが荒れたり、声枯れしたりする副作用が認められることがあります。また点鼻薬は、鼻出血が起きることがあります。 塗り薬の場合は、過剰投与すると色素が抜けたり、皮膚が薄くなったり、皮膚感染症が起きたりすることがあるので、用法用量を必ず守って使用しましょう。 編集部: 内服薬に副作用はあるのですか? 尾上先生: 疾患や、使用している薬の量、内服期間などにより異なりますが、以下の副作用が見られることがあります。 ・免疫力の低下に伴う感染症発症 ・骨密度が減少する ・血糖値が上昇する ・消化性潰瘍ができやすくなる ・血栓が作られやすくなる ・不眠症、多幸症、うつ状態になることがある ・ムーンフェイスになることがある ・動脈硬化、脂質異常症、高血圧などのリスクが上昇する ・緑内障や白内障のリスクが上昇する ・副腎不全が起きることがある ・増毛、脱毛、生理不順、不整脈、ステロイド筋症などが起きることがある