【MLB】24年ぶりの地区優勝を目指すマリナーズ ここまで目立った補強なし 打線強化は急務だが…
直近4シーズンで353勝、1シーズン平均88勝を挙げているマリナーズ。ジェリー・ディポート編成本部長は「安定して勝率.540を計算できるチームを作る」との目標を掲げ、その通りのチームを作っているが、ポストシーズンには2022年の1度しか進めておらず、球団史上初のワールドシリーズ進出には遠く及ばない状況が続いている。地元メディアが「補強資金は1500万ドル程度しかない」と報じている今オフも補強は思うように進まず、ここまでFA市場には1ドルも投じていない。 【特集】2024年オフシーズンの移籍情報まとめ マリナーズの強みは30球団中トップクラスの投手陣を擁していること。昨季のチーム防御率3.49はリーグトップの数字であり、ローガン・ギルバート、ジョージ・カービー、ブライス・ミラー、ブライアン・ウーという「20代右腕カルテット」は他球団が羨むほどの若さと実力を兼ね備えている。当然のように他球団からトレードの打診が殺到しているが、ディポート編成本部長は「若手先発投手の放出は(プランA、プランB…とあるうちの)プランZだ」と語り、トレードに応じる可能性を明確に否定している。 となれば、若手先発投手を駒にしたトレード以外の方法で課題の打線強化を実現しなければならないのだが、ここまで目立った動きはない。ロースター40人枠内の新戦力はレイズから金銭トレードで獲得したオースティン・シェントン、ブルージェイズからウエーバーで獲得したニック・ラポソくらいで、フリオ・ロドリゲスやランディ・アロザレーナ、ミッチ・ガーバー、J・P・クロフォードなど、昨季不振だった主力のバウンスバックに期待するしかない状況だ。 そんななか、右腕ルイス・カスティーヨをトレードで放出する可能性が取り沙汰されており、実際にレッドソックスと交渉して若手一塁手のトリストン・カサスを対価に要求したようだが、「吉田正尚の契約を引き取ってくれるのであればカサスの放出に応じる」と逆提案を受け、そのまま破談に。カスティーヨとのトレードで主力クラスの内野手を獲得できるのが理想だが、絶好のトレード相手とも言えるオリオールズは若手野手の放出に応じるつもりはないようだ。このままでは昨季よりも弱体化した打線で開幕を迎えなければならないかもしれない。 ア・リーグ西地区はアストロズがピークを過ぎて下降線に入り、絶対的な優勝候補がいない。強力投手陣を擁するマリナーズにとっては、2001年以来の地区優勝を成し遂げる絶好のチャンスだが、ジョン・スタントン会長をはじめとする経営陣にはチームを強化しようという意欲が見えないのが実情だ。このままでは好投手がズラリと揃う魅力的なローテーションの絶頂期を無駄にしかねないだけに、ディポート編成本部長には何かしらの打開策を見つけ出すことが求められるだろう。