“ぽいぽい”の裏側で死にたいとつぶやいていたーー全盛期の後悔を胸に立ち上がった経営者・あやまん監督の決意
多額の“ぽいぽい印税”を手にして、失ったもの
トラブルに見舞われたものの二つの事務所から誘いを受け、迷った末に吉本興業グループの芸能事務所に所属。“ぽいぽい”を収録したCDも発売した。 「曲をリリースして得られた“ぽいぽい印税”はメンバー全員で数千万円ほどでした。でも、おそらく全体の半分かそれ以上は事務所のほうに入ったので、自分たちだけで出していればと正直悔やみましたね。もちろん主要なバラエティー番組を一巡できたのは完全に事務所のおかげで深く感謝しています」 とはいえ、それまで見たことのない大金を手にしたあやまん監督は、同時に「大切なものを失ってしまった」。 「初期の私たちは収録で放送禁止用語を叫んでしまったりと、やりたい放題でした。でもだんだん『どうせこの発言はNGなんでしょ』と分かってきたし、ポジションを守りたくて『ちゃんとしなきゃ』と考えるように。“大人”になってしまったあやまんJAPANのパフォーマンスの質は、著しく低下しました」 次第に仕事は減っていった。
経営者としてコロナ禍に直面。「女の子たちにギャラを還元したい」
「そもそも私たちは事務所に作られたものではなく、すべて一から自分たちで楽しみながら築き上げてきたもの。ならばもう一度、自分たちだけでやってみようと決意しました」
2014年、グループのために自ら会社を立ち上げた。 職務内容はもちろん夜のイベント業で、40人ほどいるユースメンバーとともに活動してきた。ところがコロナ禍の影響で営業はほぼゼロに。貯金を取り崩してなんとか食いつなぎ、YouTubeのライブ配信などにも挑戦するが収入は微々たるものだという。 近年では、セクハラや下ネタに対する社会の意識の高まりもひしひしと感じている。数年前にテレビ番組であやまんジェットコースターを披露した際、「それってセクハラでは?」と視聴者から指摘された。
「ハッとしましたね。ポップな“あげまんパワー”でみんなを元気にするのがモットーなので、できれば誰も傷つけたくないんですよ」 宴会を封じられたこの2年間で、自分たちの存在意義を何度も見失いかけた。しかしそのたびに「おもしろくてエロいパフォーマンスをする女性集団はきっと私たちくらいしかいない。やっぱり終わらせるわけにはいかない」と持ちこたえた。 メンバーのたまたまこ(31)は、「引っ込み思案なユースメンバーの個性も、一人ひとり丁寧に引き出してあげる。監督の面倒見のよさはとても真似できません」と話す。