取り扱いサロン6000店舗突破 サロンと一般流通の双方で躍進する「シンピュルテ」の流通戦略
WWD:癒やしを求めて「シンピュルテ」を支持する声が上がり、コロナ禍のお家需要とマッチしてフレグランスアイテムがSNSなどで話題になっていたのを覚えています。
上妻:当時、ビューティの分野では「時短」というキーワードが流行していましたが、自分の美と向き合う大切な時間を「時短」と捉えることに対して少し疑問を感じていました。むしろ、スキンケアにかける例えば15分という時間をどれだけ充実させられるかが重要だと考え、香りに注目しました。コロナ禍以前の日本では、香りを取り入れたスキンケアブランドはほとんど見られなかったように思います。そこで、香りを通じてストレスを解消しながらスキンケアを楽しめるような、ホリスティックかつメディカルなアプローチを、慶應義塾大学の満倉靖恵教授と共に進めました。
WWD:最近ではヘアサロンでの流通も定着し、美容師からの注目度が増しています。
上妻:ヘアケアに関しては、当社が以前「ジョンマスターオーガニック」を支援していた経験が大きく影響しています。同ブランドは本国ではプロフェッショナルなヘアケアのイメージがありましたが、日本に上陸した当初は知名度が全くなく、オーガニック市場自体も芽が出始めたばかりの状況でした。ゆえにサロン流通に関して、美容ディーラーの中で優先順位を上げるのは難しかったことを覚えています。そこでまずはおしゃれなセレクトショップやセンスの良いライフスタイルショップにアプローチし、店頭で取り扱ってもらうことで感度の高い美容師にブランドを知ってもらい、逆に美容師が気になる存在になるようブランドへと育てるという戦略を取りました。こうして徐々にサロンでの流通が広がっていった経緯があります。
当時、サロンとショップ(一般流通)の展開が互いに競合する印象を持たれることもありましたが、実際には相乗効果が生まれていました。特に売上の良い直営店の周辺では、「ジョンマスターオーガニック」を取り扱うサロンにも活気があり、互いの存在が顧客を引き寄せる相乗効果をもたらしていたのです。また取り扱いサロンが比較的多いエリアに直営店を出店すると、お客さまの集まりが非常に良く、サロンでの体験を通じて「もっとさまざまな商品を使ってみたい」という意欲が生まれ、ブランドの価値が向上していきました。この経験をもとに、当時は実現できなかったことも多かったため、今「シンピュルテ」で再び挑戦し、一般流通とサロン流通の両方をまたぐブランドに育てていきたいと考えています。