"米軍全クリ"に最も近づいた日本男児・サイトウ曹長が憂う日本社会「アメリカでは軍人だとわかった人が匿名で飯をおごってくれるような姿勢がある。日本の自衛隊には国や国民、さらにメディアのサポートがないのがかわいそう」
「米軍は変わってきています」 海軍、海兵隊、陸軍を経たサイトウ曹長はそう語る。 「特にこの2年くらい、新しく入ってくる新兵の質の変化を肌で感じます。年々減っている新兵希望者ですが、コロナ禍がさらなる後押しとなり、人材不足がかなり深刻に。 その結果、そもそもアメリカは教育レベルの差が激しいのですが、本当に何も知らない状態の新兵も入ってきている。ヘタしたらコインランドリーの使い方を知らないヤツもいますよ。 しかも、コロナのせいで人とのコミュニケーションに慣れていない子も多い。そういうヤツは命令を出しても、『え?』みたいな反応をするんです。当然、忍耐力もありません。 その上、昔のような厳しい訓練も減っています。鬼のように怖いと恐れられた教育隊が優しくなっている。教官が手を上げることはなくなりましたし、週末はスマホを使ってもいいとかルールも緩和されています。そこに勉強が苦手な少年が入ってきたら真面目に学べませんし、統率力も落ちます」 米軍は1973年に徴兵制を停止し志願制に変わった。その際、高校卒業が必須要件から取り外されたが、その結果、学力の足りない16、17歳の少年らが入隊し、米軍は弱体化したといわれている。 慌てて80年代に高卒以上を必須要件に再び加えたところ、1990年には湾岸戦争に勝利した。しかし、深刻な人材不足でまた逆戻りし、高校卒業していなくても入隊できるようになったのだ。 「とはいっても、米軍で最も人数を抱える陸軍でいえば、レンジャーや特殊部隊グリーンベレー、デルタなどにはすさまじく高い能力を持つ人たちはいます。つまり、陸軍ではそういう頭がキレキレな1%くらいの人が、残りの99%を動かしている状態。まさに米国社会を表しています。 ちなみに海兵隊員は半分以上がキレキレですよ。『海兵隊の創設記念日はいつだ?』と問われれば、海兵隊員は100%答えられます。でも、陸軍のヤツに『陸軍の創設記念日はいつだ?』と聞いても答えられるヤツはほぼいません。 その違いは教育隊で"洗脳"されているかいないかですが、言い換えれば、所属組織に対してプライドがあるかないかなんです。そしてそのプライドは兵士の士気に直結します。 ちなみに、日米合同訓練で自衛隊も見ていますが、自衛隊の人材力はしばらくは落ちないと思います」 それはいったいなぜ?