大谷翔平vs.ジャッジが2028年オリンピックの舞台で!? MLBで盛り上がるメジャーリーガー五輪出場の気運と公式戦日程の障壁
【松坂大輔とコンビを組んだ捕手の良き思い出】 ボストン・レッドソックスのジェイソン・バリテックは2007年に松坂大輔とバッテリーを組み、世界一に輝いた名捕手。現在52歳の彼は同チームのゲームプランニングコーディネイターだ。 32年前の1992年、ジョージア工科大学の学生だったが、バルセロナ五輪で野球が初めて公式種目になった時のアメリカ代表だ。バルセロナ五輪と言えば、NBAが初めてトッププレーヤーを送り出した大会で、ドリームチームがNBAの人気を一気に世界的なものに変えた。バリテックはそのインパクトを現地で、肌で感じた。 「開会式、入場行進で私たち野球のチームUSAの次がドリームチームだった。ラリー・バード、マイケル・ジョーダン、マジック・ジョンソンがすぐ後ろにいる。すごい盛り上がりだった。 開会式の時だけじゃない。私とチームメートが、卓球台などが置かれたアスリートがくつろぐ部屋にいると、チャールズ・バークレーがまっすぐに私たちの方に向かってきて『バークレーです、よろしく』と。もちろん私たちはあなたのことは存じ上げていますと恐縮してしまったよ。世界最高のバスケット選手が集まって一つのチームで戦う。文字通り夢のようなグループで、神々しかった」 バリテックはこう振り返る。そんななかで、ラリー・バードは大学時代に野球もやっていたため、特に仲よくしてくれたという。「我々のことをすごく応援して、3、4試合球場で観戦してくれた。そのうちの一つはデーゲームで日本戦だったように記憶している」と懐かしむ。 今、野球界でも遅ればせながらドリームチームを結成しようという声が出ているが、バリテックもそれに賛成する。 「バルセロナ五輪でNBAの人気は世界的なものになった。野球というゲームをさらに成長させていくために、私たちも考える必要がある。私が出たバルセロナ五輪では野球はまだアマチュアの種目で、アマチュアリズムの意義を口にしていた。 だが、オリンピックは大きく変わった。バスケットに限らず、プロ選手が参加し、ベストプレーヤーが盛り上げている。世界が進化していく中で、野球も進化を続ける必要がある。私たちも最善を尽くすべきだ。そもそも現時点では、私たちアメリカがトップの強豪チームではないかもしれない。(東京五輪王者の)日本と同じラインに立たなければならない。競い合うことで野球も野球選手もよくなっていく。私の希望は、競技がより面白くなっていくことでゲームの露出を高め、若い世代の関心を集められること。幅広い年齢層にアピールできる」 メジャーリーガーをオリンピックに送れば公式戦を中断しなければならなくなるという点については、バリテックは次のように持論を述べる。 「中断が可能かどうかはわからない。でも理想的には、WBCもシーズンの途中に行なわれるべき。これまではシーズンが始まる前だったけど、(選手が最高のコンディションで臨める)シーズンの中盤から終盤にかけて開催されるべき。WBCのタイミングを調整して、シーズンの一部として組み込めるかもしれない。そして、4年ごとにオリンピックもあり、すべてが同じ時期に集中すれば、すべての国が同じタイミングで準備できるようになる。それが理想だ」 162試合の長い公式戦にこだわることで、MLBは新しい、大きなビジネスチャンスを逃してきた。だがNBAより遅れること36年、2028年は、アメリカが最強のチームを結成し、大谷率いる日本と真剣勝負をするべきなのである。