戦後から続くPTA、内容を見直してる? 「代行サービス」で問われるPTA本来の目的
「PTA代行サービス」の前に活動内容の見直しを
――コロナ禍でPTAにも影響があったそうですね。 大塚玲子: 2020年の春に学校が一斉休校になったので、PTA活動も止まったところがほとんどだったかと思います。少なくとも前年通りに毎年やってきた活動の多くをストップせざるを得ませんでした。実際、活動をストップしてみたら別に問題なかったということがわかってきて、これを機になくなった活動があると聞いています。 PTAは戦後、国にも自治体にもお金がない中で、保護者がお金や労働力を提供することで学校活動を補ってきた部分は確実にありました。ですが、もう戦後77年も経つので、それが見直されず続いている場合は疑問に感じてほしいですね。 ――PTAの代行サービスも話題になっていますが、こういった動きについてはどう思いますか。 大塚玲子: 今まで保護者がやってきたPTAの活動を、PTA代行サービスに代行してもらうということで、とても話題になっていますよね。PTAがお金を払って代行業者に依頼することを喜ぶ保護者の方も多いようです。今までのPTAは平日日中に学校へ呼び出されることが多いから、お金を払って誰かにお願いした方がましだと考える人が出てくるのも当然だと思います。 しかし、代行サービスを使って活動の負担が軽くなっても、PTA会費から支払っているので、保護者に対しての会費の強制徴収は続くことになってしまいます。それでは根本的な問題は解決しないと考えています。今一度考えてほしいのは、そもそもPTAでその活動を本当にやらなければならないのかを見直す必要があるということです。本来はやらなくても良いことを見直しせず、学校に来いって言われるのが嫌だから代行サービスにお金を払うというのは、ちょっと違うのではないかと思います。
PTAへの加入を“自分で選んだ”という認識が大事
――今後、PTAの存在はなくなっていくべきなのか、それとも形を変えて検討し直されるのか、大塚さんはどうお考えですか。 大塚玲子: PTA自体を残さなきゃいけないとは思っていません。しかし、保護者と学校が情報共有や意見交換をする場や、保護者と学校の間で必要なことを何らかの形で設けておくことは必要なのではないでしょうか。現状PTAは建前上、保護者を代表する窓口にもなっていますし、PTAが校則の変更の提案をするといった事例も稀にあります。ただ一方で、逆にPTAが学校の間違った対応をかばってしまうような事例も少なからずあるので注意が必要ですし、使い方次第かと思います。 ――PTAに対して保護者はどういう意識を持つべきだとお考えでしょうか。 大塚玲子: PTAに入る・入らない、活動する・しないを一人ひとりが選んだって思ってほしいんです。もちろん、入会届も配られないで、全員勝手に入れられてしまう事例もある中で「入りません」「それはおかしいと思う」と言うのはハードルが高い。それが面倒くさくて慣例に従ってPTAに入るのも良いとは思いますが、その場合も自分が選んだという認識を持ってほしいんです。その認識がないと「自分もやらされたから、他の人も我慢するべきだ」となりやすい。PTAの強制ってそうやって続いてきたところがあると思うんです。 「今まではそれでやってきたんだけど、問題があるのだったらうちらの代で止めようよ」と伝えてほしいですね。PTAに対する行動を自分で選ぶという意識を、個々人がもっと持ってほしいと思っています。 ----- 大塚玲子 ノンフィクションライター。PTAなどの保護者組織や多様な形の家族について取材・執筆。著書は『さよなら、理不尽PTA!~強制をやめる!PTA改革の手引き』(辰巳出版)、『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『PTAがやっぱりコワイ人のための本』(以上、太郎次郎社エディタス)など。 文:田中いつき (この動画記事は、TBSラジオ「荻上チキ・Session」とYahoo!JAPANが共同で制作しました)