ザックJはなぜ後退してしまったのか?
すぐに結果が出ない”新たな試み”
こうして、前半19分には岡崎慎司(マインツ)とのコンビネーションから内田篤人(シャルケ)がシュートまで持ち込むシーンが生まれた。内田によると、「今までは、そこまで行こうと思ってなかったけれど、今日は行こうと思っていた。選手同士で話し合いをして、(右も)多少行ってもいいんじゃないかということになった」のだという。 つまり、今回は新しい試みがすぐにはうまくいかなかったという意味合いが強い。本田は、その部分をさらに強調し、「2試合無得点に終わった要因は?」という質問に対し、こう答えている。 「今回は選手同士で話をして、W杯用にさらに大きなものを披露しようとして組み立てている段階でもある。前と同じようにすれば得点できていたかもしれないが、新たなトライをしていることで、その新しいことがうまくいかなかった」
ノーゴールの直接的な原因とは
無得点に終わった背景に何があったのかは理解できた。では、ノーゴールの直接的な原因は何か。この問いには遠藤が「一番は、裏が取れなかったこと」と即答している。 東欧遠征では2試合とも柿谷が1トップの位置で先発した。国内組だけで戦った東アジア杯の鮮やかな3得点で指揮官の評価を高め、欧州組と融合した後はすっかりレギュラーに定着しているものの、8月以降は得点がない。しかも今回はフル代表メンバーとして初の欧州遠征だった。 遠藤は柿谷をうまく生かされなかった理由について詳しく説明している。 「僕らはボールを支配しながらゲームを組み立てているので、(柿谷)曜一朗のポジションが一番警戒されている。単純に一番きついポジションだ。カウンター攻撃のときや、裏に膨大なスペースが空いているときはまた違うと思うが、狙ったあとに孤立してしまったら意味がない。曜一朗の動き出しはみんなが見ていると思うので、裏を取れないのは、タイミングの問題と、裏にスペースがあるかどうか、フォローに入っている選手がいるかどうか。僕ら(パサー)はそこまで見ている」。つまり、コンビネーションの熟成にはまだ時間がかかるという認識だ。