【試乗】スポーツ性と扱いやすさの好バランス!YZF-R25は250スポーツのスタンダードモデルだ
クセのない乗り味で、つねに操る楽しさを感じる
より厳格化された排ガス規制に適合するために、最新型のYZF-R25はキャタライザーや補器類が装備されたこともあり、最高出力は初期型の36PS/12000rpmから35PS/12000rpmへと1PS下がっている。しかし、最大トルクは2.3N・m/10000rpmと変わらず、アイドリング付近で2速発進しても、エンストしないような粘るトルクが発揮される。そこからスロットルを開けていくと、ツインエンジンらしい鼓動感を伴ないつつ、加速もスルスルと伸びていく。ビッグツインのような押し出されるトルク感はないけれど、250ccクラスらしい軽い車体の恩恵もあり、4000~6000rpmの常用域をキープしていても、交通の流れを余裕でリードできる加速力がある。 セパレートハンドルはハンドルクラウンより下にセットされていて、前輪に荷重をかけられる前傾姿勢が自然と決まる。据え切りや取り回しなどでのハンドル操作では前輪にしっとりした手応えを感じるけれど、それは直進安定性の高さとしても感じられる。その一方で走行中の車体の倒し込みに重さはなく、コーナリングでは狙ったラインにスムーズに入っていける。 前後ブレーキのタッチもよく、制動力も申し分ない。加速、制動、コーナリングでの操作性にクセがなく、ライダーの操作や動作に対する車体の挙動が予測しやすいので、マシンコントロールがしやすい乗り味になっている。
幅広いライダー層が楽しめる完成度の高さ
YZF-R25は前傾姿勢となるけれど、その前傾はそれほどキツくない。ハンドル幅は適度にワイドで、シートの前後長にも余裕があり、上体を起こしたリラックスした姿勢もとりやすい。スクリーンとカウルは防風効果を発揮し、250ccながら高速道路での快適性は高いので、ツーリングでの疲労も低減してくれる。 前後サスは衝撃吸収性がよく、荒れた路面やギャップでも底突きせず、カドのない乗り心地を提供してくれる。とくにリヤサスは後輪が路面をグリップしている感じを伝えてくれるので、加速時やコーナー脱出時などのスロットルコントロールもしやすい。 最高出力、最大トルクとも1万回転以上で発生する高回転型のエンジンとなっているが、各ギヤのつながりがよく、一般公道ではその回転域を多用することはなかった。高回転域はサーキットなどクローズドコースでの走行に対応しているのだろう。個人的には6速をもう少しハイギヤードにすれば、高速巡航時の燃費も伸びて、さらに扱いやすくなるだろうと思った。ともあれ、扱いやすいトルクとパワー、取り回しやすい車格と車体の軽さ、250ccクラスの経済性など、YZF-R25はスポーツ性と扱いやすさのバランスがよく、日本人ライダーにとってスタンダード的な完成度になっていると思った。
【2023年型ヤマハYZF-R25主要諸元】
・全長×全幅×全高:2090×730×1140mm ・ホイールベース:1380mm ・車重:169kg ・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブ直列2気筒249cc ・最高出力:26kW(35PS)/12000rpm ・最大トルク:23N・m(2.3kgf・m)/10000rpm ・燃料タンク容量:14L ・変速機:6速リターン ・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク ・タイヤ:F=110/70-17、R=140/70-17 ・価格:69万800円
小川浩康