ウズベキスタンとの架け橋に 名古屋で料理店、本場の味と文化伝え
ウズベキスタン出身のゾイロフ・ルスタムさん(45)は、5年前から名古屋市中心部で自国料理の店を営む。本場の味を提供しながら、文化も伝えている。故郷では、人脈を生かして日本語教室の開講につなげた。「もっと互いを知ってほしい」。両国の架け橋となり、関係が深まることを願う。(共同通信=小田原知生) 「ウズベキスタン料理を食べたことがありますか」。初めて訪れる日本人客に、ゾイロフさんは笑顔で話しかける。 メニューを広げ、炊き込みご飯「プロフ」や、ひき肉を生地で包んで蒸した「マンティ」などの伝統料理を紹介する。店内には、シルクロードの要衝として栄えたサマルカンドといった観光地の写真を飾り、ガイドブックも用いて見どころを説明。食事を楽しみながら、ウズベキスタンへの理解を深めてもらいたいと考えている。 2005年に来日し、岐阜市の日本語学校で2年間学んだ後、名古屋市の専門学校で経営を専攻。日本で開業して交流を広げ、母国に観光客や企業を呼び込むことを目標に勉強した。
卒業後、キッチンカーでのケバブ販売を経て、2019年に名古屋市中村区に料理店「タバスム」をオープンした。メニューは母親と祖母から教わった家庭料理が中心。近所にモスク(イスラム教礼拝所)があり、イスラム圏出身者も来店する。日本人客の中には、旅行で食べた思い出の味を求めて愛知県外から訪れる人もおり、手応えを感じている。 今年、生まれ育った世界遺産都市ブハラの公立学校で、名古屋市の日本語学校が日本語教室を開講した。それぞれの校長と知り合いだったゾイロフさんが結びつけた。「日本語を話す人が増え、5年後、10年後には日本の企業が工場を建ててくれたらうれしい」。故郷の発展に期待を膨らませる。