「犬猫たちの笑顔を守りたい!」保護犬・保護猫の譲渡を進める「せとうちドッグパーク」とは?
一日40頭の猫を不妊去勢手術
取材当日、『せとうちドッグパーク』には兵庫県姫路市にある猫の不妊去勢手術専門病院『スペイクリニック姫路』から獣医師1名と術前処置などを担当する医療スタッフ2名が訪れ、一日で40頭の猫の手術を行っていました。 手術の対象となるのは保護された猫と、繁殖を防ぐためTNR(T=Trap/捕獲し、N=Neuter/不妊去勢手術を施し、R=Return/元の場所に戻す)が必要な野良猫たち。月1~2回程度の開催で、いつも多くの希望者が集まるそうです。 「手術できる月齢前の子猫を譲渡することもありますが、時期が来たら手術してくださいとお願いしていても、なかなかしてくれないケースもあります。安全な譲渡につなげるにはこちらで手術したほうがいいのですが、全頭となると費用もかさむ。その点、専門病院のスペイクリニック姫路は一般の動物病院よりも低料金なので、とても助かっています」(楠代表) 日本では生後6か月を過ぎなければ手術をしない獣医師も多いそうですが、猫は生後4~5か月で妊娠する可能性があるため、スペイクリニック姫路の野村芽衣獣医師は海外の臨床データなどから安全性を担保した上で、6か月齢未満の幼齢猫に対する手術を推奨。もちろん、しっかりとしたスキルを身に着け、幼齢猫にも負担が少ない短時間の手術を実施しています。メス猫の手術を見学させてもらいましたが、開腹部からの出血はなく、わずか7分で終了しました。 「オスならもっと短時間で終わります。ケガをしている猫は同時に処置を行うので、その場合はもう少し掛かりますが、それでもできるだけ短く。麻酔時間は短いに越したことありませんからね。皮内縫合(ひないほうごう)と言って時間がたてば溶ける糸を使って皮膚の中で縫合するので、抜糸の必要もありません」(野村獣医師) 犬も猫も保護して終わりではありません。心と体をケアして新しい家族を見つけること、無用な繁殖を防ぐために不妊去勢手術を行うこと、譲渡後のサポートも必要ですし、費用の捻出も……ゴールはないのです。それでも「犬猫たちの笑顔を守るために」楠さんたちは今日も活動を続けます。 (まいどなニュース特約・岡部 充代)
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