「上京して頼む人が少なくてびっくり!」 長野県民にとっては「サラダ軍艦」が回転寿司の大定番、人気化した背景には「かっぱ寿司」の創業と魚の流通事情があった
回転寿司の人気メニューといえば「サーモン」や「マグロ」「ブリ」といった定番の生魚が上位に並ぶが、なぜか長野県では「回転寿司といえば『サラダ軍艦』」なのだという。その人気ぶりは、長野県出身者が「スーパーではサラダ軍艦だけのパックが売られている」「法事の時に、サラダ軍艦のみの寿司桶が届けられた」というほどだから驚きだ。 【写真】長野県民は驚くほどの確率で注文する「サラダ軍艦」 かっぱ寿司には変わりサラダ軍艦メニューも豊富で、「サラダ感動コーン軍艦」「サラダねぎとろ軍艦」なども
他にもネタはたくさんあるのに、いわゆる“変わりダネ”サラダ軍艦が長野県民に愛される理由は、これまでにもさまざまに考察されてきたが、「海なし県のため、生魚に馴染みが薄かったのでは」というふんわりとした解釈が一般的なようだ。 はたして“本当のところ”はどうなのか。『魚ビジネス』の著者であり、おいしい魚の専門家であるながさき一生氏に「サラダ軍艦」人気の背景を探ってもらうと、長野県民特有の“魚食事情“が見えてきた。
子供の頃から「とりあえずサラダ軍艦」という風潮
まず、長野県でもっとも店舗の多い回転寿司チェーン店は『かっぱ寿司』だ。それもそのはず、実は『かっぱ寿司』が1979年に創業した1号店の所在地は、長野県長野市なのである。現在は神奈川県横浜市に本社を移し、全国各地に店舗展開をしているが、いまなお長野県民にとって馴染み深い回転寿司チェーンで、ランチやディナーはもちろん、冠婚葬祭や年末年始など、様々な場で利用される。そうしたなか、長野県民は驚くほどの確率で「サラダ軍艦」を注文するという。 念のためかっぱ寿司の「サラダ軍艦」を説明すると、基本的に茹でたイカゲソと魚のすり身をマヨネーズで和えたネタを軍艦に載せたものだ。それらを「老若男女問わず食べる」というのは長野県で生まれ育った晴人さん(仮名・25歳)だが、“なぜ長野県民はサラダ軍艦が好きなのか”という問いには首を傾げる。 「なぜ好きなのかと言われても、子供の頃から『とりあえずサラダ軍艦』という風潮があったから、としか言えません。法事や年末年始の時に回転寿司屋に行くと、親戚一同こぞって『サラダ軍艦』を注文するんです。実際美味しいですし、子供の頃は何も疑わず一食に何皿も食べていました。 そういう環境で生まれ育ったので、大学で東京に出てくると、回転寿司店でサラダ軍艦を注文する人が少なくてビックリしました。ずっと“回転寿司のテッパンネタ”だと思っていたのですが……」(晴人さん)