絶滅と思われたカエルを100年ぶりに再発見、生きた姿も初めて撮影、エクアドル
自然保護の厳しい闘い
エクアドルの爬虫両生類学者と活動家は、両生類の再発見を利用し、自国の生物多様性に対する重大な脅威に立ち向かっている。例えば、2019年には、複数の自然保護NGOとエクアドル北部のコミュニティーが、30年ぶりに再発見されたフキヤガマ属(ヤセヒキガエルともいう)のAtelopus longirostrisをシンボルとし、国がチリ企業CODELCOと自国の鉱業公社ENAMI EPに与えた採掘権の撤回を求めた。 活動家と科学者は、エクアドル北部での採掘は自然の権利を侵害しており、A. longirostrisが発見された生息地を汚染していると警告した。そして、鉱業会社の参入を承認する際の環境影響調査が、エクアドル北部のインタグ渓谷に暮らす生物種を考慮していなかったとして訴訟を起こした。 環境影響調査では、A. longirostrisのような絶滅危惧種を保護するための対策が提案されることもなかった。5年近くに及ぶ法廷闘争の末、2024年、コミュニティーとNGOに有利な判決が下され、リュリマグア鉱山プロジェクトの操業許可が取り消された。 「私たちは闘いに勝利しました」と生物学者のアンドレア・テラン・バルテス氏は話す。氏はキトを拠点に活動する「ハンバトゥ両生類研究保全センター」のプロジェクトコーディネーターでもある。「問題は、法律が変わらない限り、何も変わらないことです」 P. ruidusが再発見されたモレトゥロの森を含むエクアドル西部アンデス山麓の森林は、20年にわたる激しい森林伐採、土地利用の変化、採掘の結果、現在ではもとの面積の30%しか残されていない。サンチェス・ニビセラ氏のチームは、自分たちが両生類を発見してリストに加えるたび、森林保護の大義が強まると確信している。 一方、研究室では、P. ruidusの遺伝物質を使い、ほかのカエルが新種または再発見された種かどうかを確認することになっている。研究チームはさらに、絶滅したと考えられている両生類をもっと見つける決意を固めている。 「私たちには信念があります」とサンチェス・ニビセラ氏は語る。「カエルたちはまだそこにいると思います」
文=Humberto Basilio/訳=米井香織