温室ガス削減、梨とブドウで「三ツ星」 土づくりに和牛堆肥 広島・庄原実業高校
広島県立庄原実業高校が梨とブドウで、農水省の「みどりの食料システム戦略」に基づく「みえるらべる」の温室効果ガス削減の三ツ星を取得した。同省が公開する登録番号リストによると、高校で「日本なし」の登録は初めて。環境負荷を低減した安全・安心な果実作りを消費者へさらに周知し、農産物の適正な価格形成につなげていきたい考えだ。 同校では梨とブドウを栽培し、2018年にアジアGAP(農業生産工程管理)、20年に県の「安心!広島ブランド」特別栽培農産物の認証を取得。21年からJAひろしまやJA広島果実連と梨「二十世紀」を香港に輸出もする。 「みえるらべる」には生物生産学科2年生の石田陽輝さん(16)と栄田龍之介さん(17)が挑んだ。以前から化学肥料や化学農薬の使用量を減らして栽培していることに着目。園地の環境モニタリング装置のデータを分析して施肥設計などを見直した。 同校の良質な和牛堆肥で土づくりに取り組み、化学肥料の使用量を減らした。病害虫の発生を抑えるため、落葉の除去や園地の草刈り、清掃などの総合的病害虫・雑草管理(IPM)を実践。一つ一つの果樹と向き合い、袋掛けなどの作業に汗を流した。 10アール当たりの温室効果ガス排出量は、梨で32%、露地ブドウで45%を達成した。石田さんと栄田さんは「特に袋掛けが大変だったが、三ツ星を取れてうれしい。消費者への積極的なPRで、農産物の価格向上につなげたい」と先を見据える。 今後は、消費者へのアンケートや「みえるらべる」を活用した販売戦略などを検討する。 徳永隆志教諭は「(みえるらべるの)取り組みで、栽培をより客観的に把握できる。環境と農業の調和を意識して、改善や工夫を続けてほしい」と話した。
日本農業新聞