大阪→韓国・プサン『19時間の船旅』に密着 「里帰りして祖母へ結婚報告」「定年前の気ままな一人旅」あえてフェリーを選ぶその魅力とは
定年前の気ままな1人旅「意地でも飛行機は使わない」
大阪とプサンを結ぶフェリーは韓国の会社が運航しています。この日は260人が乗船していて、うち日本人は55人。日本語を話せるスタッフもいるので言葉に困ることはありません。旅の疲れを癒す大浴場もあり、運賃は大人片道1万2000円~(※燃油サーチャージ 税金別)。船が好きな人はもちろん、子連れのファミリーにも人気があるそうです。 食事も船旅の楽しみ。夕食は韓国料理を中心にしたビュッフェスタイルです。レストランには、韓国に里帰りするチョアさんの姿も。船内で知り合った韓国人と一緒に食事をしていました。こんな出会いも船旅の魅力です。 (チョアさん)「友達になりました。プサンが地元で、おいしいところを教えてもらったり。めちゃくちゃ優しく教えてくれて」 日が暮れると、名物の『のど自慢大会』を開催。大人も子どももステージで熱唱します。取材班がインタビューしていた東京からの子どもたちも参加していました。 夜、売店でビールを買う男性に出会いました。名古屋から1人での船旅。部屋で話を聞かせてもらいました。 (一人旅の男性)「(Q旅の目的は?)目的は恥ずかしいですけど、“鉄オタ”なもんですから、韓国の列車に乗りたいなと。そして景色を見たいなと」 初めての韓国で、プサンを拠点にソウルや世界遺産の街・キョンジュを鉄道で巡る旅。船と鉄道を乗り継ぐ気ままな一人旅です。 (一人旅の男性)「もうすぐ定年なんです。再就職した時に長い休みが取れないかもしれないと思って、今回、時間のかかる旅を選んだ。(Q帰りもフェリー?)帰りは違う船なんですけど、(プサンから)福岡まで行く船で、福岡から新幹線。意地でも飛行機は使わない」 フェリーは未明に関門海峡を通過。真夜中もプサンに向けて進みます。
あえて船で旅するワケ「便利な世の中で、不便なものが…」
午前5時、うっすらと明るくなってきた東の空。韓国に里帰りするチョアさんが朝日を見にきました。チョアさんと夫の涼司さんは10年前、ロシアに語学留学した時に出会ったそうです。卒業後はお互いの国に戻りましたが、遠距離恋愛を経て結婚。今回の旅には大きな目的があるそうです。 (チョアさん)「卒業して就職したけど一緒にいたいなと思って日本に来ました。韓国は家族を大事にしていて、結婚式を小さくしたので(親戚の)一番上のおばあちゃんにあいさつができていなかったので、遅くなる前にあいさつしにいこうかなと」 フェリーから国境の島・対馬が見えると、プサンはもうすぐ。乗客は船を下りる準備を始めます。韓国最大の港町・プサンは、人口300万人を超える大都市です。 午前10時、長かった船旅も終わり、チョアさんの夫・涼司さんが、あえて船で旅するワケを話してくれました。 (涼司さん)「便利な世の中になったので、(自分の中で)不便なものが流行っている。そんな気持ちだけかもしれない。船いいよ。乗ったらわかります」 変化が激しい時代に、ゆっくりと移動を楽しむ人たちがそこにいました。 (2024年8月16日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)