【注目ドライバー】アルピーヌの屋台骨を支えるエステバン・オコン、旧知の仲ガスリーとの共闘は2季目に突入|アルピーヌ|F1
シート喪失も再びF1の舞台に返り咲く
2018年はチームの財政難もあり、苦しいシーズンを過ごすことになった。またマシンの競争力不足に加えてバトル中の接触なども増えてしまう。なかでも第20戦ブラジルGPでは、周回遅れのオコンがトップ走行中のマックス・フェルスタッペンと接触して、レース後にもめる一幕も見られた。 さらにストーブリーグがオコンにとって不利な方向に動く。関係の深かったルノーのシートにダニエル・リカルドが収まり、フォース・インディアのオーナーとなった資産家のローレンス・ストロールの影響で、チームにランス・ストロールが加わることになり、オコンは2019年のレギュラーシートを失うことになった。 この状況にメルセデスのトト・ウォルフ代表がサポートの意向を示し、オコンがF1のシートを獲得するためには、メルセデスのサポートをあえて外すことも辞さないと話した。しかし、結果的にレギュラードライバーの座は獲得できず、2019年はメルセデスのテストドライバーに就任することに。 2020年はニコ・ヒュルケンベルグに代わってルノーのシートを獲得したオコン。同僚である実力者ダニエル・リカルドに比べて上位争いを展開するケースが少なく、入賞頻度でもやや見劣りする結果に。だが波乱含みの終盤のサクヒールGPでは初優勝したセルジオ・ペレスに続く2位表彰台を獲得した。10度の入賞で年間12位に終わっている。 ルノーは2021年よりチーム名がアルピーヌへと変更。そして相棒は2005年、2006年にルノーで2度の世界王者に輝いたフェルナンド・アロンソとなった。
2021年は待望のF1初優勝
チーム名がルノーからアルピーヌへと変わり、僚友が3年ぶりF1帰還のアロンソに変わった2021年、オコンは序盤から入賞圏内でのフィニッシュを繰り返すも、表彰台には遠い位置での戦いが中心となった。 第6戦アゼルバイジャンGP終了後の2021年6月16日には、2024年までアルピーヌと契約延長に至ったことが発表された。だがオコンはこの契約更新後に精彩を欠く場面が散見され、長期契約が妥当だったのか疑問視する声も少なからず浮上。 だがウェット路面の第11戦ハンガリーGPでは、千載一遇のチャンスがやってくる。スタート直後のターン1ではバルテリ・ボッタスが多重クラッシュを誘発し、レッドブルの2台やランド・ノリスが巻き添えに。後方ではランス・ストロールもブレーキングで失敗し、シャルル・ルクレールやダニエル・リカルドが巻き込まれる事態に。上位勢が姿を消す中で、ターン1でインを突いたオコンは2番手に浮上した状態でレースは早くも赤旗中断となる。 4周目の赤旗再開時にはハミルトンがそのままスターティンググリッドに着いた一方、2番手オコン以下すべてのマシンがピットに入り、ドライタイヤにスイッチ。そしてピットレーンからのスタートとなった。ハミルトンはその翌周にピットへと入ったため、オコンは5周目にしてトップに立つ。 そこからオコンはセバスチャン・ベッテルに追われながらもラップリーダーとしてレースをけん引。また、後方では後ろから追い上げるルイス・ハミルトンを、僚友アロンソがブロックしてオコンをアシストする流れも脚光を浴びた。結局オコンはこのチャンスを生かしてトップでチェッカーを受け、キャリア初優勝を果たした。 このシーズン、オコンの表彰台は優勝したハンガリーGPのみだったが、シーズン74ポイントを獲得してドライバーズランキング11位でシーズンを終えている。