坂口涼太郎が自然体を貫く理由「小さい頃から『普通』とされていることに違和感があった。自分の思うままに生きようと思ってくれる人が、一人でも増えたら」
個性的な髪形に印象深い役柄。「クセメン俳優」として注目を集める坂口涼太郎さんは、ダンサー、シンガーソングライターとしても活動中だ。現在は、フジテレビ系ドラマ『ビリオン×スクール』に、山田涼介(Hey!Say!JUMP)が勤務する学校の教師の1人、溝口信雄役でレギュラー出演している。ファッションやメイクで先鋭的とも見られる自己表現を続けながらも、自然体を貫く彼の想いとは――(構成=大内弓子 撮影=木村直軌) 【写真】レオタードを着て、ちゃぶ台の上で踊っていた2歳の頃の坂口さん * * * * * * * ◆僕がメイクをしても誰の迷惑にもならない ファッションやメイクで自分を表現するようになってから、言葉でも自分の考えを伝える機会が増えてきました。そもそも小さい頃から「なんでこれが普通とされているんだろう」とか違和感がいっぱいあって、ジェンダーや平和について友人と話したりしていたんです。 ただ、お芝居には自分がこの社会に対して願っていることがけっこう表現されているので、それで満足しているところがあったんですよね。 その頃出演した、政治の世界を描いた『罠の戦争』というドラマは、まさに現代の日本を舞台にした話で、この社会は自分たちで変えられるんだということが描かれていた。 出演しているうちに、どんな想いで演じているのかを知ってほしいという気持ちが強くなって、SNSで発信を始めました。するといろんな反応が返ってきて、さまざまな考えを知ることができた。 自分の意思を表明することを怖いとはまったく思っていません。言っちゃダメなことって、僕はないと思うんですよね。
男がメイクするなんて、と感じる人もいるでしょう。でも、そういう人とは関わらなければいいだけ。 だって誰の迷惑にもならないじゃないですか。むしろ自分の意思や好きなものを表明すれば、同じようにそれをいいと思う人が集まって、結局は自分の「好き」に囲まれて居心地のいい場所が作られていく。 坂口涼太郎も楽しそうに生きているし、自分の思うままに生きようと思ってくれる人が、一人でも増えたらいいなって。 今、ウェブメディアで週に1回エッセイの連載をしています。書いていると、今までの体験とか感情が繋がってたくさん発見があって。書くって自分と向き合う、すごい行為。今までは通り過ぎていたことがたくさんあるんだなと感じています。 発見といえば、去年出演した演劇で「鑑賞サポート」をやりました。目の見えない方と耳の聞こえない方のために、字幕と音声で実況中継をして。 それで初めて、芸術という分野に対するバリアフリーに関して、僕は今まで想像が行き届いていなかったと反省しました。 いろいろな立場の人と出会って知ることで、社会にはおかしなところがあることに気づく。たぶん死ぬまで、出会って知ってようやく気づいてという連続なんですね。
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