「父と同じ、医師になりたい」夢は破れたが…「歯学部」で気づいた「人を幸せにする」楽しさ
歯学部では、歯科医師になることを目指し、6年間かけて学びます。年々、女子学生の割合が増え、2023年1月に実施された歯科医師国家試験の受験者は、約4割が女性でした。医師に比べて当直や時間外勤務が少なく、結婚や出産を経ても働きやすいといった点が女子学生に注目されています。歯学部生たちはどのように学んでいるのでしょうか。 【写真】患者ロボットを使用した実習
東京と新潟にキャンパスを構える日本歯科大学は、1907(明治40)年に創立されて以来、日本の歯学教育の先導的な役割を担ってきました。東京都千代田区にある生命歯学部の片岡美涼さん(5年)は、子どものころから医師になることが夢でした。 「父が開業医だったので、幼いころから患者さんに優しく接する父の姿を見てきました。患者さんから信頼されている姿がかっこよくて、私もそんな医師になりたいと思っていました」 医学部を目指して頑張ってきましたが、結婚や出産など将来を考えたときに、これ以上浪人するわけにはいかないと、滑り止めで受験していた歯学部への入学を決めました。 「実際に入学してみたら、授業内容は難しく、覚えなければならないこともたくさんあって、想像していたよりも大変でした」 歯学部では、一般的に1~4年次に一般教養や基礎歯学、臨床歯学などを座学で学び、5年次から附属病院で実際の患者と接する臨床実習がスタートします。臨床実習に入る前には、臨床能力の習熟度を評価するための試験に合格しなければなりません。さらに6年次の1月末に実施される歯科医師国家試験を受験する前には、学士(卒業)試験に合格する必要があります。 「座学が中心のときは、朝9時ごろから授業が始まって、長い日は夕方6時までみっちりと授業がありました。今は臨床実習中なので、週に4日は大学の附属病院に通って臨床実習をして、週に1日は大学で授業を受けています。平日は勉強する時間がとれないので、週末にまとめて勉強しています」