「父と同じ、医師になりたい」夢は破れたが…「歯学部」で気づいた「人を幸せにする」楽しさ
歯科医師国家試験の合格率は?
片岡さんが歯学部の中でも日本歯科大学を選んだのは、「歯科医師国家試験の合格率が高いことが理由の一つ」だったそうです。歯科医師国家試験は医師国家試験よりも合格率が低く、23年は新卒者の合格率は医師国家試験の94.9%に対して、77.3%にとどまります。日本歯科大学生命歯学部の場合、新卒者の合格率は86.3%(新潟生命歯学部は83.3%)で、私立大学では東京歯科大学(94.1%)、松本歯科大学(93.1%)に次いで高い合格率を誇っています。 日本歯科大学の国家試験に向けたサポートについて、生命歯学部の菊池憲一郎学部長はこう話します。 「6年次には指導プロジェクトチームを立ち上げ、グループごとに教員がつき、定期的に面談をして、苦手分野があればそこを重点的に指導するなど、国家試験に向けたサポートをしています。成績が伸び悩んでいる学生には、教員が家庭教師をする制度もあります。こうした対策は基本の学費に含まれています。このようなサポートの結果、6年生の8割以上が学士試験をパスして、国家試験に挑んでいます」 歯学部は女子学生の割合が増え、23年歯科医師国家試験は、受験者の42%が女性で、合格率は男性59.2%に対して、女性69.5%でした。日本歯科大学も、女子学生が多く、23年度の生命歯学部の新入生129人のうち女子が71人と過半数を占めています。このため、女子寮を完備しているほか、キャンパスの女子化粧室の改装や女子学生専用スペースの設置などを進めています。 近年は健康寿命を延伸するために歯科医療のニーズが高まり、歯科医師の勤務先は歯科医院だけではなく、病院や介護施設、在宅医療など、活躍の場が広がっています。それを踏まえて、日本歯科大学生命歯学部では口腔リハビリテーション専門のクリニックで、同大学新潟生命歯学部では歯科大学初の訪問歯科診療専門のクリニックや認知症患者支援のカフェでも実習を行います。そのほか新潟大学歯学部、朝日大学歯学部、岡山大学歯学部などでも在宅・訪問歯科診療実習を導入し、学生も家庭や施設をまわります。 6年間で歯科の知識と技術を習得するハードな学部ではありますが、医学と同様に人の生命とも関わり、やりがいを実感しやすい分野といえます。
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